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第11話 魔術師シエラとセッ〇スしないと出られない部屋

「くっふっふっふ! この部屋に『セッ〇スしないと出られない結界』を張ったのだ。この部屋から出たければ、わしの前でセッ〇スをするのだ! じっくり観察してやるのだ!」


「この部屋全体に結界を張るだと!? 相当な魔力を消費しないと無理だぞ?」


「くっふっふっふ! この天才魔術師! シエラ・ハーラン様にかかれば簡単なことなのだ!」


 勝ち誇った笑い声を上げる女魔術師。ライカが試しに入口のドアを蹴破ろうとするが、ドアはびくともしない。


「リィド…… どうやら、結界が張っているのは本当のようだよ」


「信じられん。魔力量だけでいえば、勇者パーティーにいる魔術師に匹敵するぞ」


 僕は、驚きと感嘆の声を上げた。結界魔術というのは、とにかく魔力の消費が激しい魔術なのだ。周囲に結界を展開するのと、その状態を維持するために湯水のように魔力を消耗する。


 この部屋のサイズの結界となると、それこそ膨大な魔力が必要だ。魔力の量だけでいえば、一流の魔術師の為せる技と言えるだろう。しかし……


「シエラとか言ったな…… 大した魔力の持ち主のようだが。お前、本当に魔術師か? 頭が悪いだろう?」


 僕は腕を組んで女魔術師に言った。女魔術師は、怪訝そうな顔をする。


「な、何だと!? この天才魔術師シエラ様に向かって、頭が悪いとは何なのだ! 失礼なのだ!」


「この部屋は、セッ〇スをしないと出られない結界が張られているんだろう?」


「そうなのだ! だから、お前たちはわしの前でセッ〇スをしないといけないのだ! 獣のようにお互いの体を求め合うのだ! くっふっふっふ!」


 ニヤニヤとした笑みを浮かべる女魔術師。残念なことに、この状態でも彼女は分かっていないようだ。


「……お前。やっぱり頭が悪いな。そんな結界に、僕たちだけでなく自分まで閉じ込めてどうするんだ?」


「えッ? 自分まで……」


 僕にそう言われて、女魔術師はキョロキョロと辺りを見渡した。僕とライカを交互に見て、しばらく考える。そして、ようやく気づいたのか叫び声を上げた。


「ああッ!? し、しまったのだ! 自分も結界の中にいるのだ!」


「そうだよ。つまり、セッ〇スするのは僕とライカじゃなくてもいいって訳」


 それを聞いて、女魔術師はガタガタと震えだす。顔にすごい量の冷や汗を浮かべている。


「ひいいいーッ! お、犯されるのだ! この男に凌辱されて、あんなことやこんなことまでされるのだーッ!」


「人聞きの悪い事を言うなよ! 僕は、こう見えてもフェミニストなんだぞ。この結界を破るのに、セッ〇スをする必要はない。魔力の供給源を断ってやればいいだけさ」


「ん? それは、つまり。どういうことなのだ?」


 僕が、目で合図するとライカが無言で剣を抜く。


「シエラとか言ったな。つまり、君を殺せば…… 何もしなくてもこの結界は消えるんだよ」


「ひぃいいいいー! こ、殺されるのだー!」


 恐怖の絶叫を上げる女魔術師。僕とライカは、呆れた様子で彼女を見ていた。ライカが、ため息をつく。


「はぁ。で、どうするんだい? リィド」


「ああ。ごめんごめん。ちょっと、脅かしすぎたようだ…… おい! シエラ!」


 僕は、女魔術師の名前を呼んだ。女魔術師シエラは、恐怖でひきつった顔で返事をする。


「お、お願いなのだ! 殺さないで欲しいのだ……」


「ああ。冗談だよ。殺したりしないって。そうなる前に、自分で結界を解くんだ。それだけの話だろ?」


「あ、ああ。なるほどなのだ……」


 そう、別に彼女を殺害する必要もセッ〇スする必要もなかった。彼女が張った結界だ。彼女が自分で解除すれば済む話だった。


 しかし、しばらく沈黙した後。女魔術師シエラは、頭をポリポリと掻きながら言った。


「……ごめんなのだ。結界の解き方が分からないのだ!」


 それを聞いて、僕とライカは思わずずっこけそうになった。自分で張った結界が自分で解けない。そんな間抜けな魔術師を見たのは初めてだった。


「何でだよッ! お前が作った結界だろう!? なんで自分で解除できない?」


「いや…… セッ〇スをしないと出られないっていう術式にこだわったら、普通に解除の仕方が分からなくなったのだ……」


 再びライカが後ろで大きなため息をついた。


「はぁー。どうする? リィド? 本当にセッ〇スでもおっぱじめるかい? 私はごめんだよ」


「ひぃいいいーッ! やっぱり犯されるのだー!」


 僕は手を広げて「やれやれ」というジェスチャーをする。そして、言った。


「まったく仕方ない…… 僕が、この結界を解くよ。ちょっと待っててくれ」


 そう言うと、壁に向かって手をかざす。そして、小説家のスキルである読解リーディングを発動させた。


 すると、部屋の壁から文字が浮き上がり、そして空中に羅列されていく。これは、この部屋に張られた結界の術式だ。僕は、その術式を読み解いていく。


「ふむふむ。なるほどね…… セッ〇スしないと出られない部分は、必要以上に書き込まれているが。それ以外の部分は、全然ダメだな。ここをこうして……」


 僕は、もう一つのスキル編集ライティングを使って、結界の術式を書き換えていった。


 ほどなくして、部屋に張られた『セッ〇スをしないと出られない結界』は跡形もなく消滅した。



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