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英雄に憧れて  作者: 三毛実
外伝 英雄の目覚め
11/28

森の中へ

手を引かれて、僕は森の中を歩いていた。森はどんどんと深く、薄暗くなっていく。

前を行くリーシャは僕の腕を引いて、迷うことなくグングンと歩いていた。この細腕のどこにこんな力があるのか。

「なんだ。魔力の濃い方に進めばいいだけじゃない。やっぱり私は天才よね。」

僕は少し足を早めて彼女の隣に並んで声をかけた。

「・・・英雄様。」

「え、英雄・・・。」

僕が英雄と呼ぶ度に彼女は感激している。そんなに嬉しいのかな。

「・・・コホン。英雄って読んでくれるのは嬉しいけど、ちょっと仰々しいかな。リーシャでいいわ。」

「それじゃリーシャ。」

「切り替え早い!」

ガンとしているリーシャを無視して僕は尋ねる。

「僕が連れて来られた意味って?」

その言葉を聞いた途端に目線を彷徨わせるリーシャ。

「・・・そ、そういえば、君の名前聞いてなかったね。おしえてくれる?」

はぐらかしたな。

じーっと不満ごと視線をぶつけるが、彼女は只管に前を向き視線は合わせない。

・・・・まあ、もうここまで来てしまったし。今更どうでもいいや。

「・・・・アルク。」

「アルクか。ならアル君だね。」

「アル君て・・・。」

子供か。

「アル君は何歳なの?」

「14だよ。」

「お!来年で成人だね。何になりたいの?」

「・・・。英雄。」

「ええ!私と一緒―――」

「になりたかった。」

「だ・・・った?何で?」

不思議そうに僕の顔を覗き込んでくる。僕はその事を考えたくないのに。

「・・・この話は嫌なんだ。リーシャは何歳なの?」

「・・・そう?まあ、いいけど。何歳だと思うー?」

いたずらっぽく笑うリーシャ。

聞かれて僕はリーシャを見る。

身長は僕と同じくらい。見た感じ僕より年上だが、そんなに離れてはいなさそうだ。

そういえばリーシャはもう冒険者なのだし、最低でも15になっているはず。

「じゃあ、15?」

そう言うとリーシャは不機嫌になって僕から顔を背けた。

「・・・・な。」

「そんなそっぽ向いてボソボソ言っても聞こえないよ。何歳だって?」

するとリーシャはキッと目尻を釣り上げて叫び返した。

「17よ!!悪かったわね!!」

「え!?僕の3つも上!?」

素で驚いてしまった僕。

「なんでそんなに驚くのー!?心外よ心外!この溢れる色気で分かるでしょ普通!」

そう言ってリーシャは胸を反らす。

つい胸の膨らみに目が行きそうになるが、慌てて逸らす。

「いやだって、リーシャはまだ色気より食い気でしょ。キーカ抱えてあんなに嬉しそうだったし。」

「ふーんだ!」

そのままプリプリと頬を膨らませて、リーシャは先に歩いていく。

「そういうところが子供っぽいんだって。」

僕の呟きは日の傾き始めた空へと吸い込まれていった。


「そろそろ野営地を見つけたいわね」。

言われて空を見上げると、日はすっかり傾き地平線へと沈み始めていた。

空は綺麗なあかね色に染まっていて綺麗だった。

次の投稿は明日です。感想お待ちしています。

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