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英雄に憧れて  作者: 三毛実
外伝 英雄の目覚め
10/28

予感

満を持して、リーシャちゃん登場!の巻

「英雄の、リーシャロッテ・アルドラドです!」

突然、風が吹いたように感じた。

「ふふん。」

彼女の顔はキラキラと、まるで星が瞬いているように輝いて見えた。

得意気なその人の顔を見て僕はー

「・・・さて、牛の様子を見てこようかな。」

「無視!?」

何も見なかった事にした。

自称英雄なんて、怪しいにも程がある。危ないところだった。僕も一歩間違えればこんな人になっていたのか・・・。

立ち上がり、背を向けて歩き出した僕の首根っこを、後ろから伸びてきた手に掴まれた。

「ちょっと、ちょーっと待って。待ちなさい!」

逃走失敗。

「えーっとですね・・・。」

どうしようか。

僕はとりあえず、適当にあしらう事にした。

「・・・ここは、あっちですね。」

そう言って適当な森の獣道を指差す。

「あっちね。ありがと!」

彼女は勢い込んで頷くと、そのままその方向へ歩いて行った。

僕はそのまま、そこで昼寝を続けた。

10分後、彼女は帰ってきた。何やら額を赤くしている。

「お帰りなさい。額が赤いですけど、どうしました?」

「こ、これは悪魔の罠が仕掛けてあって・・・。そ、それより!向こうは行き止まりだったわよ。どういうこと?」

「あー・・・、ごめんなさい。間違えたみたいです。そっちですね。」

そう言って今度は適当な藪の方を指差す。

「なんだ、間違えたのね。それなら仕方ないわ。ありがと、今度こそ行ってくるわ。」

「行ってらっしゃい。」

僕はまた、昼寝を始めた。

その更に10分後、また彼女は帰ってきた。体のあちこちを木の枝やら葉っぱ塗れにして、何やら両手にはいっぱいのキーカを抱えている。

「へへーん。いいでしょ。偶然見つけた木に、沢山実ってたの。」

「それ、渋キーカですよ。」

「えええ!!」

信じられないという顔で両手に抱えたキーカを見つめている。

「そ、そんな・・・。」

「残念でしたね。それでは僕はこれで失礼します。」

「待て。」

再び逃亡失敗。

「あなた・・・。」

(流石に嘘がばれた?)

「私と一緒に来なさい。」

「へ?」

「あなたの言ったとおりに行っても私1人じゃ迷っちゃうもの。だから、あなたも来れば問題解決じゃない?さすが私!発想の逆転ね。」

ヤバい。このままじゃ僕まで連れて行かれる!?

「で、でも英雄様、僕なんかが一緒に行ったら、それこそ足手まといにー」

「え、英雄・・・。大丈夫!この私にかかればあなた1人守ることなんて簡単よ。だから安心して付いて来なさい!」

なんかツボ入っちゃった!?ヤブヘビだ!!

彼女は嬉しそうに僕の手をとった。

「さ、行くわよ?」

僕は一瞬迷った。ここでまた適当にごまかして彼女から逃げることは可能だろう。

(でも)

何故か僕は、この英雄を自称する彼女に付いていけば、自分の中の何かが変わる予感がしていた。

「・・・はい。」

「よし!」

そうして僕は、リーシャに引きずられて、魔境へと向かうことになった。


次の投稿は明日です。感想お待ちしています。

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