プランBを選んだら②
私は今、日本という国で生きている。
前世では一日の大半をベッドで過ごしていたから、この世界と前世との違いをハッキリとは分からないけれど…
少なくてもこんなテレビやゲームなんて素晴らしいものなかったし、色々と便利な物、面白い物、カワイイ物が身近に沢山あって最高の世界だ!!
食べ物の種類も豊富で、世界中の美味しいものが手軽に楽しめる。
前世では味の薄い消化に良いものを少ししか食べられなかったけれど、今世ではいくらでも好きなものを好きなだけ食べられる。
本当に健康な体最高!!日本最高!!
確かに見た目は対して良くないかもしれないし、特別な取り柄もなく、誰からも愛されていないけれど…
何なら親にも愛されなかったようで、生まれてすぐに捨てられたけれど…
特に愛情を掛けられることも虐げられることもなく施設で育ち、成人後は住み込みで働けるところを探して働き始めた。
特に才能もないから高給取りにはなれないが、ある意味誰からも愛されずボッチな未来が決まっているから、無理に頑張って他人に良く見せる必要もなく、交際費とかもかからないからそういう出費が削れて、自分が楽しむことにだけお金を掛けることができた。
一度、職場で妙に馴れ馴れしいイケメン風の男性が近づいてきたことがあったけれど…
『幸子さん、いつも一人でお昼食べてるから…良かったら一緒に食べに行きませんか?』
『いいえ、お弁当持って来てるので結構です』
『わ〜幸子さんの手作りですか?美味そう。僕も食べたいな〜』
『いいえ、昨日スーパーで閉店前に半額で買ったやつです。申し訳ありませんが、1人分しかないので…。
…あの…早く食べ終わって、ネット漫画の続き見たいので…もういいですか?』
『…せっかく人が気を遣って声を掛けてやったのに…偉そうになんだよブス!!
そんなのだから、いつまでたってもお前は一人なんだよ!!』
(何か貴重なお昼時間を潰されたうえに罵声まで浴びせられた…ムカつく。
言われなくても、私が生涯おひとり様なのは生まれる前から決まっているのに…)
それからしばらくして…彼が複数の女性相手に結婚をチラつかせてお金を貢がせていたことがバレ、会社をクビになったと聞いた。
外聞を気にして黙っている人もいるようだが、その中の複数の人が集団で訴訟中だそうだ…。
最初から自分にはそういう人が現れないと知っていたから相手にしなかったが、自分もそれを知らなかったら彼に引っ掛かっていたのだろうか…?いや、アレはないな…。
一生健康に恵まれ長生きできることが決まっているから、保険に入る必要もない、老後病気になった時のための備えもいらない。
私は心置きなく、好きなアニメの推し活に財産を注ぎ込んだ。
確かに誰かに愛されることはないけれど…
一方的に推しに愛を捧げ、貢ぐことは問題ないからね。
前世で常に死が身近だったからか、何となく今世でも死期がわかった。
もうそろそろお迎えが来る…。
行きたいところに行き、美味しいものを好きなだけ食べ、好きなものに囲まれて暮らす生活を満喫できた。
プランBを選んだことに悔いはない。
でも…次、生まれ変わったら…
多少波乱万丈でも…家族に囲まれて育ち、ちょっと恋なんかもする人生を歩んでみたいと思った…。
~・~・~・~・~
長田幸子100歳。
100歳のお祝いに市の職員の人が家を訪ねた際に、眠るように亡くなっているのを発見された。
まるで分かっていたかのように、枕元には自分の死後は身内もいないので葬式は不要。永代供養の墓に入れて欲しい旨とそのパンフレット、銀行の通帳、印鑑が置かれていた。
メモには色々とお手間を掛けるので、墓代を支払って残った遺産はその手数料や迷惑料に使ってほしいこと、それでも余ったら自分が育った孤児院に寄付してほしいと書かれていた。
苦しむことなく眠るように亡くなったからか、その死顔は孤児院の院長がつけてくれた名前の通り、とても幸せそうだったらしい…。
お読みいただきありがとうございます。
ラストに短いですが、もう1話あります。




