プランAを選んだら①
私は前世では伯爵令嬢だった。
そこそこに裕福な家で2人姉妹の長女として育ち、将来は隣領の侯爵家の次男を婿に迎え、家を継ぐはずだった。
婚約者のアンドレは艶のある黒髪に切れ長な緑の瞳が凛々しい素敵な人で、ロザリアは初めて会った時から彼に憧れていた。
最初は単なる憧れだった思いも、交流を深めていくうちに愛情へと変わり、同じ年の彼が学園卒業と同時にうちにやって来るのを、とても心待ちにしていた。
でもあの日から…私達が学園に上がったお祝いのために開かれたガーデンパーティーで、初めて陽の光の下で輝くあの娘を見てから、彼はいつも妹を目で追うようになった…。
マグノリアが嬉しそうに微笑めば、彼も嬉しそうに笑った。
マグノリアが悲しそうな顔をすれば、彼も心を痛めた。
マグノリアの熱が上がり苦しむ時は、彼も辛そうに自分の手を握りしめた。
私が目の前にいても、彼の目はいつも妹を探していた…。
学園卒業を2週間後に控え、私達の結婚式も近づいた頃、妹の体調が急変した。
発熱が続き、元々食の細かった妹の食事量が更に減った。
もう結婚式に参加するお客様からの出欠確認も終わり、今から変更するとなると難しい時期に差し掛かっていたが、アンドレから結婚式を延期したいという提案がされた。
本来、うちの身内の問題なので、こちらから切り出すべき話だったが…
マグノリアの体調が急変することは今までにも度々あったため、今回も大丈夫だろうと思ってしまった…。
それに私は少しでも早くアンドレと結婚したかった。今はマグノリアばかり見ている彼も、さすがに結婚すれば自分を見てくれるだろうと思ったからだ。
『君は姉なのにマグノリアが心配ではないのか?』
と明らかに不機嫌な顔で尋ねられもした。
けれど私は頑なに結婚式の日取りの延期を拒んだ。
そして…迎えた結婚式前日…。
明日、結婚式を挙げてしまえば私はアンドレの妻になれると思っていた。
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