プロローグ
気がつけば、そこは真っ白な世界だった…。
そうか…私…あのまま死んだんだ…。
何故か私の隣には、不思議な顔で周りをキョロキョロ見回す妹のマグノリアもいた。
病弱で…いつも儚く微笑んでいた美しい妹。
実際、病気のために若くして亡くなった彼女は…
私の婚約者が誰よりも愛した女だった…。
私は少しくすんだ金色の髪に、同じく地味な灰色がかった青い瞳、目鼻立ちはそれなりに整ってはいるけれど…華がなく…地味な顔立ちをしていた…。
血を分けた姉妹なのに…マグノリアは折れそうに華奢で、透きとおる白い肌、薔薇色の頬、日に透けるとそのプラチナブロンドの髪がキラキラと輝いて…
いつもは少し伏せめがちで長い睫毛が覆って陰をさしているのに、妹が何かを伝えようと見上げると、その潤んだ空色の瞳はどんな宝石よりも美しく…誰もが魅入られた。
私の婚約者もその一人であった。
彼は、うちの屋敷に来るといつも美しい妹を目で追っていた…。
そして、元々長くは生きられないと言われていた妹が病気でこの世を去った時、彼は迷うことなく持っていた剣で自分の胸を貫き、後を追った…。
その光景を見た私は、愛する婚約者を失ったショックでたぶんおかしくなっていたのだろう…。
婚約者の胸に刺さっていた剣を抜き取ると、自らもその剣を自分の心臓めがけて振り下ろした。
そして気がついたら…この真っ白な世界にいたというわけだ…。
『こんにちは、ロザリア、マグノリア。
【選択の間】へようこそ』
いつのまにか目の前には美しい…けれど全く表情のない顔をした女性が立っていた。
「ここはどこなのですか?そして貴方は誰ですか?」
『私はこの部屋の管理者サーシャ。ここはある条件を満たして亡くなった者が次の世界に行く前に通る【選択の間】です。
何かしら不満を抱えて亡くなった者、心残りのある者のために、来世の生き方を自分で選択できる部屋となっています』
(不満を抱えて亡くなった者…)
「みんなが来るわけではないのですか…?」
それまで黙って私達のやり取りを見ていた妹が管理者に尋ねた。
『心残りのない人生を送った者には、記憶を消去した状態でランダムに選ばれたその者がステップアップするのに相応しい人生が。
心残りのある無しに関わらず行いの悪い人生を送った者には、矯正プログラムを組み入れた人生が用意されます。
この部屋に来る者には、救済措置として記憶を残したまま、自分で次の人生を2択から選択できるシステムです』
「2択…?」
『そう。
美しく優秀で誰からも愛されるけれど一生辛い病気を患う人生のプランA。
何の取り柄もなく、誰からも愛されることもなく一人で生きるけれど死ぬまで健康で長生きできるプランB。』
「プランAは短命なのですか?」
『いいえ、平均寿命まで生きますが…病とは一生付き合わなければなりません』
「死ぬまで健康…」
隣でマグノリアが考え込むように呟いた。
「プランBは愛されないということは、人々から虐げられたりするのですか…?」
『いいえ。ただ誰からも愛されないだけです』
『さあ、選択は自分次第。
あなたなら、どちらを選びますか?』
お読みいただきありがとうございます。
GWのスキマ時間にどうぞ☺




