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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
沖縄合宿編
91/96

日本代表vs日本代表

そこは、一輝達ボーイズ代表チームとは別にある宿。

ある一室に数名の中学生が集まっていた。

どうやら明日の試合の作戦を練っていたようだ。

指揮を取っているのは、元プロ野球選手の北条。

選手達はその話を真剣に聞き各々が思考を巡らせていた。


「以上で明日のスタメンと作戦会議終わりだ。

他に何も質問が無ければ解散。」

「「ありがとうございました!」」

北条の挨拶で全員が散り散りにり部屋へ戻っていく。


ツカツカと歩いている1人の少年にまた別の少年が声を掛ける


「喜田、一緒に部屋まで帰らないか?」

「荒浪...嫌だわ。気持ちわりぃな」

「酷いじゃないか。僕は人見知りなんだよ」

「嘘つけ!」


喜田幸輝きたこうき。瀬田ボーイズキャプテンであり、一輝達桑山ボーイズと同じ西東京市部に所属する

ボーイズチームの選手。

もう1人は荒浪翔太あらなみしょうた。彼も喜田と同じく西東京市部のボーイズリーグ所属。

それだけではなく喜田と違い一輝、焦斗と同じ

学童野球のチームメイトだったものだ。


2人は部屋への道のりで様々な事を話していた。

自分達がU15に選ばれた事、そして一輝や焦斗が

選ばれなかったことの考察など。

そして明日の代表チーム同士の試合の事も。


2人が話して歩いていると自分たちの部屋の前に

4人の人影が見えた。


「あ?何やってんだお前ら。人の部屋の前で」

「おやおやおや...」

謎に威嚇する喜田、顎に手を添える荒浪。

そこに居たのは同世代でも名の知れた選手達。

しかしそれはボーイズリーグではない。


「あのミーティングだけじゃ分からないことが多いからねっ♪君達に聞きたい事があるんだっ♪」

語尾が跳ねて話すのは牧形シニアの秋山玲人あきやまれいと


「情報共有は大事だろう。我々は今、リーグを

飛び越えた戦友となる。

[常在戦場]。常に相手を知らなければならない」

メガネをクイッと直しながらお硬い感じで話すのは、世田谷区シニア、冬木楓ふゆきかえで

「冬木くんは相変わらず難しい言葉を使うよにゃこっちが疲れるにゃ。もっと楽に行けばいいのニャー」

「貴様はたるみ過ぎだ。春野」

取袖シニア、春野竜一はるのりゅういち

何故か語尾にニャとついてる


「う〜ん。もちろん君たちの事は仲間だと思いたいよ。でもねぇ〜...」

荒浪がそういいながら3人の後ろにいる男を

チラッと見る。

「お前らシニア勢は俺らの事を本当に一緒に戦う仲間だと思ってんのか?」

喜田が荒浪同様、疑いの目を向ける


「当たり前じゃんっ♪」

「無論だ」

「同じチームだし当然ニャ〜」

頷く3人。


「星一輝、藤大吾、鷹宮蓮、那須野良平...」

すると3人の後ろで手を組んで立っていた男が

口を開いた。

喜田と荒浪の2人がギュッと口を噤む

前にいた3人もその男の方を振り向く。

夏目飛鳥なつめあすか。全国制覇2連覇という快挙を成し遂げた世田谷区シニアのキャプテン。

同じ世田谷区シニアの冬木とはバッテリーを組んでおり、シニアリーグでも屈指の捕手だ。


「度々記事で見かけるその4人の打者が並ぶ

ボーイズ代表チームの打線のことを聞くのは

そんなに変か??」


喜田と荒浪は知っていたのだ。

星一輝と並べるレベルの選手は...捕手はそう居ない。この夏目飛鳥を除けば...



....


翌日、沖縄スポーツセンターグラウンド。

先に到着したボーイズ代表チームがアップをして

いるとグラウンドの入口から入ってくる数十名の

選手達。

そのユニフォームの胸には「JAPAN」と書かれていた。


「お出ましやな」

鷹宮がそう呟くと選手達に緊張が走る。

正直言えば、昨日の沖縄商学高校の方がレベルとしては上かもしれない。かもしれないが、選手達に走る緊張はそれ以上だ。

昨日はどこかで「高校生相手だから負けても誰にも咎められない」なんて思っていた選手も居ないわけではなかった。

しかし今日の相手は違う。同じ学年、同じ日の丸を背負って戦う代表同士だ。


「北条さん〜、お久しぶりですね!

今日はどうぞよろしく!」

「久しぃな朝日。5年位か?老けたなおめーも」

「北条さん程じゃないですよ」

昨日の照屋と違い、2人は共にNPB時代を戦った元チームメイト、そこまでバチバチでは無いのだろう。


「どっちが優れた監督になったか楽しみだ」

「えぇ。そうですね」

グッと力を込めた握手で2人は目を見つめ合う。

...多分バチバチでは無いと思う....



両チームアップを終え、チームのキャプテン同士がメンバー表の交換、先攻後攻を決めるため

球場の審判室の前まで来ていた。

主審がメンバー表を確認しキャプテン2人に握手をするように促す。

一輝はスッと手を差し出す。しかし相手は中々

その手を握らない。


ー一輝視点ー


俺は審判に促され手を差し出した。

なのに相手はその手を握らずずっと一点を見つめていた。


...え、え、なになに?怖いんだけど...

ずっと俺の差し出した手を見てくる...怖い


俺がそう思っていると審判が告げる


「どうしたんだ?握手をしなさい...U15キャプテン」

そう言われてもまだ手を差し出さない。


「夏目くん!」

少し声を荒らげた審判。遂に相手の夏目?という

選手が右手を差し出す。

グッと固い握手を交わし先攻後攻を決める。

先攻U15代表、後攻はボーイズ代表チーム


そのまま別れ俺はベンチへ繋がる渡り廊下を

歩いていった。すると「おい」っと冷たい雰囲気の言葉が後ろから聞こえる。

振り向くとそこには先程メンバー表を交換した

夏目がいた。


「なつ..め?だっけ?どうした??」

正直さっきの態度で俺のこいつへの評価は低い。

だってあんな冷たい態度とられたら誰だってそうなるでしょ??

俺がそんな事を心の中で思っていると夏目が

口を開いた。


「名前も知らないか...そうか。星一輝」

「な、なんだよ」

たじたじな俺に夏目が歩み寄ってくる。

刺されたりしないよね?

なんか普通にそういうことしそうな雰囲気あるんだけど...?


歩いてきた夏目は俺と同じくらいの身長だった。

そして俺の顔の前に自分の顔を突き出す


「俺らとお前ら、どっちが上か、今日分かる。

記者も、観客も、どちらが上か今日理解する。

本気で来い。その上でお前らを記者達の前で

無様に敗北させてやる」


意味がわからなかった。夏目は自分の言いたいことを言うだけ言って振り向き、歩いて行った。


...だがこのままでいいのか??

何も分からないまま言いたい事を言わせ

俺はそれを突っ立って聞いているだけ。

俺は...チームのキャプテンなのに


「夏目!!」

グッと拳を握り夏目を呼ぶ。

夏目はふいっと振り返り俺の目を見る。

俺はその目を睨み返し宣言する


「俺たちは負けねぇ!昨日も...今日も!

そしてこの後の世界でも!1敗もせず勝ち続ける!!」


俺のその言葉に、夏目は睨みを効かせながらも

振り返り歩いて行った。



...


両チームが整列する前、ベンチ前に選手達が集まっていた。

監督の智幸が帽子を脱ぎ髪をかき上げながら前に出る。


「作戦はねぇ。予選大会前最後の試合だ。

今自分たちの持ってる力全部をぶつけてこい。」

その眼差しを選手達は真っ直ぐ見る


「昨日同様、負けるつもりは毛頭ない。

お前らがボーイズリーグの代表チームってのを

まずは日本に知らしめてこい!!」

「「はいっ!!」」


後攻の為、一輝は守備に着くため防具をつけていた。すると智幸が声をかけてくる


「春に怪我したつっても実践は初じゃねぇだろ?平気か?」

「智幸さん...えぇ平気ですよ。

何せ昨日は出番もなく終わったので」

ふくれっ面で言う一輝に智幸はやれやれという表情を見せる。


「いつまで引きずってんだよ。大人になれ

大人に」

「ふんっ!でも昨日のこと無しにしても

今日も負けられないッスよ。」

「どうしてだ?」

「向こうの夏目って奴に因縁つけられたんですよ!ぜってー泣かせる」

「夏目...あぁ。世田谷区シニアのキャッチャーか」

知っているような口でそういう智幸。

そんな智幸に、一輝はずっと気になっていた事を

質問する


「あの...智幸さん」

「あぁ?なんだ?」

「その...キャプテンとして外からチームを見ろって言ってましたけど...正直俺には分かりませんでした...あれはどういう意味だったんですか?」


一輝の質問に智幸はきょとんとした顔をした


「なんだお前ずっとそれ考えてたのか?」

「アンタが言ったんでしょ?!

結構悩んでたんですけど?!」

「はっはっは!わりーわりー!」


軽く謝る智幸を一輝は訝しむ。

そして一段落笑い飛ばした智幸が言う


「あれに意味なんてねーよ。お前が駄々こねるからそれっぽいこと言っただけだ」

「...はっ?」

鳩が豆鉄砲を食らったよな顔をする一輝。

智幸は続ける


「意味なんてねーって。ガキのお前をあやすために言ったんだって」

「な、なんだよそれ?!」

一輝が憤慨していると主審が整列の準備をするように催促してくる。


「おら、行った行った。早くしねーと。

テンポが大事なんだよ野球にはよ。」

「くっそぉ〜...覚えてろよ!」


そういいベンチを飛び出し列の先頭に立つ一輝。

主審の「集合!」という声に両チームが

駆け出していく。


「本当にそれだけだったんですか...?」

「あん?」

チームの助監督である鬼怒川が智幸に声をかける


「星に言った言葉ですよ。真意がおありでは?」

「...まぁーなー?」

もったいぶりながら智幸が語り出す


「あいつは硬すぎるんだよ。

キャプテンってのを難しく考えすぎなんだ。

確かにチームのリーダーとしてまとめるのは

大事な事だ。あいつは今回の代表チームが

粒ぞろいっていうのを知った途端にそれを

まとめなければっつー責任感を感じすぎてた」


おもむろに空を見上げる智幸。


「俺の知ってるキャプテンは他人に寄り添いは

すれど自分を疎かにするようなヤツじゃなかった。今のままじゃあいつはチームに遠慮して

本来の自分の力が出せねーだろうからな。」

「...それで嫌われ役を?」

「はっ...そんな良いもんじゃねぇよ」


会話している2人を他所に、試合が始まろうとしていた。

マウンドに上がるのは、桑山ボーイズエース

天野焦斗。こちらも一輝と同様昨日の試合を

欠場していたため、きっとやる気が違う。


....そう一輝は思っていた。


ご視聴ありがとうございました!

次回更新は3/15、19:00〜です!

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