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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
沖縄合宿編
90/96

代表の力

代表チームの攻撃から始まった中高親善試合は

代表チームの圧倒的な打線で初回に4点を先制。

4点の援護点を貰った代表チームの先発泉が

マウンドへ上がる。


ー沖縄商学ベンチー


初回に先制された沖縄商学高校の監督、照屋の心は穏やかではなかった。


「守りが甘いんだよ!先頭打者にいきなりペース乱されたからって躍起になりすぎなんだよ

バッテリー!そんなんじゃお前ら来年入ってくる中学生にさえ抜かれるぞ!!」

「「はい!!」」

「砂川!お前甲子園で投げたいんだろう?!

だったらいちいち喜怒哀楽をマウンドで見せるんじゃねぇ!」

「はい!」

照屋の激励に砂川が勢いよく返事する。

円陣を作っているチームを他所に1番レフトの玉城がヘルメットを被る。


「情けねぇ...!中学生に良いようにやられて...

監督も監督だ。4点ごときで何をそんなに騒いでやがるんだ」

悪態をつきながらもベリベリとバッテをはめて

準備をする。

「まぁそういうなよ。玉城っ」

そう軽く声をかけるのは2番でサードを守る男、

知念大海ちねんひろみ。1年生・・・でありながら夏のベンチ入を果たした沖縄商学でもかなりの実力者。


「大海...お前は気楽でいいなぁ。

俺らは一軍に入るのに必死だってのによ」

「ははっ...俺だって必死さ。まぁお前らの気持ちは1mm位は理解してるつもりだよ」

「...ちっ!」

「ほら、投球練習終わったぞ。頼むぜリードオフマン」


知念の言葉を聞き流し玉城がバッターボックスへ

向かう。

バッターボックスに入るとマウンドにいる泉に

視線を向ける。ロジンをポンポンっと右手で

遊ばせながら「フッ!」っと白い手に息を吐く。


(ふてぶてしいヤローだな...

天王っていやーボーイズでも最強って言われてるからな...その伸びきった鼻先...叩き折ってやるよ

中学生じゃ越えられねー壁ってのを俺が教えてやる)

玉城がそう考えていると、審判の掛け声で泉が

振りかぶる。


その初球、玉城は自分の考えを直ぐに改めることになった。

ゆらっとした投球フォームに合わせるように

右足を上げる玉城。


ピンッ!っと指先から離れたボールがインハイに

向かって糸を引くように走る。


パァァァン!!


キャッチャー北島の乾いたミットの音が

沖縄商学ベンチを、見学に来ていた観客の度肝を

抜く。


「ストライク!!」

審判が空に向かい手を掲げた。


(な...なんだ...今の...速ぇだけじゃねぇ。何か変だ)

玉城が考える暇を与えまいと北島がサインを出す

2球目はスライダー。真ん中低めからインローへ

グンッと曲がるスライダーを当てる玉城。


「いきなり泉のスライダー当てんのか...

やっぱ甲子園出るチームのスタメンはすげーな」

一輝がベンチの柵を掴み目を輝かせていると

結がベルトを掴み引っ張り椅子に座らせる。

「座ってなさい!」

「イッテェ!しゃーないだろ!

泉の球はすげーんだよ!クソッ!俺も出てー!」

そう言いながら智幸の方をチラッと見る一輝。

智幸はふいっと顔を背ける。

どちらも子供みたいだ。


「なぁ!あの1番の人って甲子園出たんだよな?!ピッチャーの人もだけどどんな所か聞いてみてーな!」

一輝のその言葉に結は呆れる


「一輝...甲子園ちゃんと見てないでしょ?」

「へ?」

「ピッチャーの砂川さんもだけど、あの1番の玉城さんも、その他の選手達もみんな1年生だよ」

「え?」


2人が話していると泉が腕を振り上げていた

3球目はカーブが外れ、4球目を放ろうとしていた

ギィィン!っと先っぽに当たった打球は

サード、剣心の所へ飛んでいくが真正面。

快速を飛ばして一塁へ向かう玉城に驚きつつも

冷静に捕球し一塁へ転送する剣心。

審判がアウトとコールし、1アウトを取った。


「ナイスサード。剣心」

「あ.あ.うん!ナイスボール泉君!」

人見知りな剣心に声をかける泉。

天王ボーイズのエースと言われるだけあり

投げるだけの投手では無いのだ。


そして2番の知念さんが打席に入る。

玉城さんと同じく左打席に入る知念。対戦を

楽しんでいるのか飄々とした雰囲気を纏っている。

「知念大海...」

結が口を開いた。

俺は結の方へ顔を向け聞く

「知ってんの??」

「逆になんで知らないのよ...。知念大海さん。

1年生でありながら強豪沖縄商学のレギュラーの座にいる選手。甲子園では得点圏で毎回ヒットを

放っててかなり注目されてた。イケメンだし」

「あ、あーね?知念さんね、うん。」


知らなかった。甲子園は見てたけどそこまでちゃんと見てなかったな...

イケメンって言うけどそんなにか??


俺がそんなくだらない事を考えている内に

泉が振りかぶっていた。

真っ直ぐをアウトローに決め初球からストライクを取りに行く。

2球目、3球目共に変化が外れるがボールがバラけてる訳ではない。結果ボールになったという感じだ。

それをしっかり見極める選球眼を知念さんが

持っていたと言うだけだ。


4球目、いつも通り速いテンポでサイン交換をする

バッテリー。しかし知念さんはそんなのに惑わされない。

泉は足を上げながら力を溜めているように見えた。泉の指に吸い付いているように見えるボールが一気に離れる。

インハイ真っ直ぐ。見逃せばボールかストライクかという微妙なコース。振ってもフライになり

アウトを取れるといういいコースに決まる。


そう一輝が思った瞬間、知念のバットが走る


カァァン!!


ボールを上から思い切り叩いた打球はファーストの大吾の元へ速い球足で向かう。

ライン際、取れるかどうかだ。

大吾が飛びつき死守しようとするもその打球は

グローブの下を抜ける。


「しまった!」

大吾がそう叫ぶのと同時に一塁審判が叫ぶ


「ファールボール!!」

ギリギリだ。いや、もしかしたらライン内に入っていたかもしれない。

あちゃーっと言う顔をする知念を他所に泉は

少し不満な顔をした。



ー知念視点ー


おしぃな。思ったより球が伸びたからか

ライン内に入んなかったか。

でも球種は全部見た。インアウト真ん中、どこに来ても全て打ち返せる。

さぁ来なよ中学バッテリーズ。

中学生にやられちゃ甲子園出場校のメンツが潰れるんだ。



次は打てる。そう確信した知念が構えると先程と

は違う雰囲気が立ち上る。

それは知念自信のことでは無い。

目の前に立っている中学生だった。

玉城の時や先程までの自分の時は投球テンポが

早く、泉は一度も首を振っていなかった。

それなのに今、首を一度だけ振った...

いや、考えている間にもう一度。



なんだ?サインが噛み合わない?

そんなに俺を打ち取れる球があるのか??

いや、考えても無駄だ。どんな変化でもカット

できる。それが俺だ。


知念がそう思った瞬間、泉が首を縦に振り頷く。


やっと決まったか。さぁ、来なよ


グッと構え直しボールを待つ知念。

泉は足を上げいつも通りのゆらっとしたフォームで腕を振り上げ、球を投じた。

知念は知覚していた。今自分に向かってきているのがスライダーだということを。


アウトコースのスライダー...

球速はそこまでない。これなら長打が打て...


そう思った瞬間、泉の放ったスライダーが

浮き上がる


「なにっ?!」

カァァン!!


驚きながらも振り抜いた打球は緩いフライとなり

ながらもセンターへ運ばれる。


くそっ...なんだ今のボールは?!

スライダーが浮き上がった...ホップスライダーっていうやつか?!

...まぁいい。ヒットはヒットだ...


そう思い一塁へ駆け出した瞬間、ボールの行方を

目で追う知念。

その視界の端に有り得ないものを捉えた。

セカンドが追っていたのだ。

ライナーではなく緩いフライのような打球とはいえ追いつく筈がない。

普通なら取ろうとも思わないはずだ。

なのに追いかけてる。

「まさか...」

そう呟いた瞬間、セカンドの迫が飛びつく。



ボールがグラブに入った気がした。

気がしただけだ。あんなのを取るのは甲子園だってそういない....


知念は一塁に到達すると同時に自分の目を疑った

飛びついたセカンドのグラブには先程自分が

打った弱いフライを確かに捕球していたのだ。


2塁審判が確認しアウトコールをする。

湧き上がる球場。

ベンチにいた一輝も思わず両手をバンザイするように掲げていた。

それを見ていた焦斗は少しはにかみながらも

当然と言うような顔をしてみていた。


捕球し寝そべっている迫に同じ二遊間を守る

鷹宮が寄る


「なんや、セカンドも様になっとるやん」

「まぁな。鷹宮おまえがセカンドだったら

こうは行かないだろうがな」

「ふん。言うだけタダやからな」

気に食わなそうにしながらも迫の手を掴み

起こす鷹宮。

マウンドの泉はグラブと素手で拍手をしながら

そのプレーを称えていた。


その後、バックの守りに勢いを貰った泉は

3番を三振に仕留め交代となった。

高校生を三者凡退に切って落とした泉、そして

ファインプレーをした迫に皆が集まり称えていた



....



試合はそのまま続き、4回まで投げていた泉は

1失点でマウンドを降りた。

2番手は北海道の北海ボーイズ、田島龍たじまりゅうがマウンドを引き継ぐも2点を取られる。

しかし取られた点はすぐに返すと言わんばかりに

この日、3度目の打席に入った4番、藤大吾が追加点のツーランホームランを放つ。


そして最終回、智幸の元に2人の選手が歩み寄る

代表チームキャプテン、星一輝、

そして智幸の直弟子でもある日高太陽だ。


「智幸さん!最終回だ!流石に俺の事出しますよね?!」

「智幸さん智幸さん。高校生の時に俺が投げるって言ってましたよね?!正直泉と田島の後で

抑えられる自信ないんですが!?」


グイグイ来る2人に押されながらも智幸が答える


「お前らうるせーな!

一輝!お前は今日1日ベンチだよ!明日に備えろ

太陽!お前も今日は投げさせん。昨日の投球練習見てたがとてもじゃないけど無理だ。新垣に

投げてもらう!」

その回答に太陽はホッとし一輝は絶望した。



...


「6-4でボーイズ代表チーム!礼!!」

「「ありがとうございました!!」」


審判の号令で両チームが挨拶を交わす。


「強かった!学ばされることもあった。

世界一取ってこいよ!」

「ありがとうございました」

知念と泉がそう会話をしており、他の選手達も

同じような会話をしていた。


「いやー...照屋さん!ありがとうございました

やはり照屋さんのチームなだけあってお強い!

監督として私も学ぶ事が多く、未熟というのが

わかりましたよ!わっはっは!」

明らかに上機嫌な智幸に照屋は悔しそうにしていたが口を開く


「...はぁ...情けない。まさか中学生に負けるとは...っと言うつもりでしたが、本当に強かった

これは今後の高校野球も楽しみですよ」

苦し紛れの言い訳...とも取れるが、それは照屋の本心だった。


「5回からショートに入った比嘉も最終回を3人で抑えた新垣も、沖縄商学への進学を希望しているそうです。照屋さんならあいつらをきっと

甲子園に連れて行ってくらると確信してますよ」

「はっは。それはどうも、こちらもしっかり

鍛え直しますよ。」


ハッパを掛け合っている2人だが、どちらも信頼しての言葉の言い合いだ。

2人は固い握手を交わした後、チームごと

グラウンドを去っていた。




....



数時間後、風呂と夕食を済ませたチームは

大会議室に集まっていた。

部屋の後ろには投手コーチの及川と打撃コーチの山井が立っており、正面の大きな液晶テレビの前には助監督の鬼怒川、監督の智幸がたっていた。


「えー...みんな今日はお疲れ様。

とりあえず代表チームとしての初試合は勝利で

終わった訳だが、明日も引き続き気を緩めず

やっていこう」

「「はい!!」」


軽く今日の試合の反省会を終えた所で智幸が

一言話す


「んじゃ、反省会は以上。

明日はU15チームとの練習試合を控えてる。

先にスタメン発表していくぞ」

その言葉に皆に緊張が走る。

特に今日試合に出なかったメンバーは尚更だ。


1.遊 鷹宮蓮

2.捕 星一輝

3.中 那須野良平

4.一 藤大吾

5.三 幸村剣心

6.右 毛利仗助

7.左 長房泰斗

8.二 白鳥凪翔

9.投 天野焦斗


大型液晶テレビに映し出されたスタメンを見て

何名かはガッツポーズを小さくしていた。

その中に椅子から立ち上がり大きなガッツポーズをしていたのが1人いた。

そう、今日の試合ずっと智幸の目の前で素振り

やらをしてアピールしていた一輝だ。


「んじゃ、明日こんな感じだからしっかり寝て

明日万全の状態で挑むように。解散!」



ご視聴ありがとうございました!

次回更新は3/14、19:00〜です!

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