077●大神島 その1
来たくなかったんだ、本当は。
何かが頭の中で警報を鳴らす。
誰かが、アキラ、行ってはいけない、と囁く。
不死身の俺が、頭痛持ちなんて言ったら、みんな笑うだろうな。
「アキラ、何してんのよ。ロマンティックに海見てるなんて。」
「狼だって、甲板からの眺めを楽しんでもいいだろ。綺麗な夕陽じゃないか。・・・あんたこそ、潮風ってだいじょうぶなのか?」
「もちろん!ラボの改良って、どんどん良くなるもの。ウォーター・プルーフは完璧よ。ココアちゃんをみてごらんなさい!さっきから、あっちこっちから景色を眺めてるもの。」
違いない。飛行機に乗った時も嬉しそうだったよな。
「多分、あのこ、泳いで大神島までいけるんじゃない?」
大神島、その言葉で頭痛が走る。頭の奥で誰かが叫ぶような痛み。
「どうしたの、アキラ?船酔い?しょうがないわね。はい、酔い止めよ。」
絶海の孤島、オオガミ島。
名前が、俺と一致するのは偶然だと思う。
航空機は運行していない。週に1度の船の定期便があるのみだ。
定期便と言っても、小型のフェリー。
出港して丸1日、まだ島影は見えない。明日の昼には接岸する予定だが。
人口は少ない。高齢化が進んでいる。
局長命令とは言え、何があるか見てこい、という漠然とした内容なんてアリかよ。
しかも、俺たち4人がかりだ。
局長もよくわからんように見えた。
よくある大国との大人の事情ってやつかもしれんな。




