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076●戦場の医師

夜が明けるたび、自分が生きていることに驚く。

病院の窓は割れ、壁には銃弾の跡が残る。

それでも、私は白衣を着て、診察室に向かう。

ここは「天井のない監獄」。

封鎖された空の下、命をつなぐ最後の場所。


私は医師だ。

戦争が始まる前も、始まった後も、そして今も。

私の仕事は、誰が撃ったかを問わず、撃たれた人を救うこと。

誰が正しいかを議論する前に、血を止めること。

誰が勝つかを予測する前に、命を守ること。


だが、最近はそれすら難しくなってきた。

薬が足りない。電気が止まる。水が出ない。

患者は増える。子どもが泣く。母親が叫ぶ。

そして私は、何もできない自分に苛立つ。


停戦を願う。

それは、政治的な立場ではない。

それは、人としての本能だ。

人が人を殺すのを止めてほしい。

せめて、治療する時間をくれ。

せめて、子どもたちに眠る夜をくれ。


私は知っている。

この戦争は、選挙の結果でもあり、封鎖の結果でもあり、

誰かが選び、誰かが諦め、誰かが黙った結果でもあることを。

だが、だからこそ、私は黙らない。

私は語る。私は願う。私は治す。


社会は、誰かが作るものではない。

社会は、私たちが作るものだ。

そしてその始まりは、いつも「大河の一滴」である。

私はその一滴でいい。

瓦礫の中で、希望をつなぐ一滴で。


停戦を願う。

それは、私の祈りであり、私の抵抗であり、

私が医師であること、人であることの証なのだ。


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