073●よくわかんなあい!
「なっちゃん、あの隕石群、変だよね。」
「そうだね、行ってみようか、さやちゃん。」
今日もパワードスーツ、調子いいよ!
いい子だな、この機体!
さやちゃんの黄色のもカワイイ!わたしの水色にも満足!
子どもの頃に描いた‘ハム・ベーコンくん’をイラスト化して、
今の機体に貼ってある。丸い顔、大きな目。いい感じ。
723の数字も映えてる。
「うわあ!これはすごいね。磁力が半端ないね。」
「なっちゃん、どうしよう?」
「だいじょうぶだよ。解説人工知能、スタート!ボタンを押して、っと。」
ー全高12メートルのヒト型パワードスーツが静かに降下を開始した。周囲には、最大、遊星サイズの超磁性体隕石が多数浮遊し、それぞれが強烈な磁場を放っている。民間の通常の電子機器なら、数秒で制御不能に陥るほどの磁場強度だ。
「いきなり、わかんないぞ。」
ーしかし、彼女たちのパワードスーツの外装は、特殊合金「μ-ヴァニウム」で覆われていた。高透磁率を持つこの素材は、外部磁場を吸収し、内部へ誘導せずに外部へ逃がすよう設計されている。さらに、関節部や頭部などの重要部位には、局所磁場吸収材が埋め込まれており、磁場の集中を分散させることで構造的な歪みを防いでいた。
「ちょっと、まって!解説がむずかしいぞお!」
ーいや、たのむ、聞いてくれ、読んでくれ。今、とばそうとしただろ!続けますよお。
「はい、はい。ゴメンね。どうぞ。」
ー胸部に搭載された《ゼロ・ガウス・コア》が作動を開始する。これは、周囲の磁場を三次元ベクトルで解析し、瞬時に逆向きの磁場を生成することで、内部の制御系を保護するユニットだ。人工知能制御によって常時調整されており、隕石群の磁場が変動するたびに、反転磁場の強度と方向が微調整される。
「って、人工知能の解説、よくわかんないねえ。」
「まあ、無事ってことよ。」
ー磁場、外装で偏向。内部干渉ゼロ。μ-ヴァニウム層、正常作動中。
「って、言ってるから、絶好調ってことよね!」
さやちゃんの明るい声。いいね!
ー磁場ベクトル解析完了。反転磁場、同期開始。ゼロ・フィールド展開。着地座標、磁場安定化完了。
おおっ!何もしなくても、着陸できるぞ。いいな。
おっと、喉が渇いたから、冷蔵庫を開いて、っと。
おいしい!冷えた炭酸飲料はサイコー!
「なんか、いろんな船や艦艇、機体があるのね。」
「もしかしたら、地球外生命体のもいるかも?」
「えっ、じゃあ、ミドリ色のドロドロしたのとか、タコみたいなのとかいるかな?楽しみ!」
う〜ん、生命体はいないなあ。さやちゃん、どうする?
えっ、かわった艦艇を1つ持って帰るの?
中のシステムは生きてるって?地球人型生命体も使えるのか。
まあ、いいけど、ドッグの中のコレクションルーム、
もう、いっぱいだよ。しょうがないなあ。
じゃあ、わたしは足元の石を1個、もっていこうかな。
あれれ?SOS信号だ。
メイデイって、映画みたい。
もちろん、行ってみるよね、なっちゃん!




