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015●枝葉末節
遥か太古。
まだ、人類が存在しない時代。
大地に、その巨木がそそり立つ。
幹は、山のようにそびえ、枝は雲を裂き、広大な影を大地に落としていた。
葉のざわめきは、風の神の号令のようだった。
もし、ヒトが存在したなら、その周囲を巡るには相当な時間を必要としただろう。
しかし、何千年何万年が過ぎたある日、老いた巨木は轟音と共に倒れた。
大地は揺れ、その音は三日三晩鳴り響いた。
だが、その存在を、今に伝える者は、誰ひとりとしていない。
そうすると、その巨木はあったのだろうか、それとも、なかったのだろうか。
ただ、その答えは巨木にとって、
ただ風に舞う葉のような、枝葉末節なことであった。




