5
「〈悪夢の抱擁〉が染み込んだ肉だったりしない? 嫌なんだけど」
「いえ、これは我らが父のお力の一端を体験させていただけるのでは!?」
「あ、知識で振ったら『倒された経緯に関わらず』って出てきた。普通の肉だ」
「くっ!」
「本気で悔しそうな顔するなよ。っていうか恐竜の肉って美味しいの?」
「残念ながら食べたことがありません」
「だよねぇ。とりあえず持って帰るか。この鱗もキラキラしてて綺麗な赤だし、砕いてビーズとかにしたら良さげ!」
「確かに」
そんな話をスクナとヨグでして、収納庫にしまい込むと。
ナイアとシュブが意気揚々と合流した。
「我らが父、ただいまっす!」
「もどりましたわぁ」
「シュブとナイアもおかえ……ナイア汚っ! 臭い! 血だらけじゃん!」
「ひどいっす!全身全霊でボコったのに!」
「だからだろ。川でも見つけて入ってきなよ。……あとシュブ、ワイバーンの翼の片方食べただろ」
「雑味と生臭い粗野な味だったわぁ」
「……まあいいや。それで? そっちのドロップアイテム、その紅い布? いや皮かな、一巻と魔石?」
「そうっすよ! あいつろくなもんドロップしねえんっす!」
「でもこの紅色はきれいよねぇ」
「そうだね、いい色」
「うちもそう思ってたんっすよ!」
「手のひらの翻しが激しいですね……」
「とりあえず川見つけよう」
はーい、よい子の返事をした三人に溜め息をつきながら、スクナ含む一行は川を探しに階段前を後にしたのだった。
「アマゾネスと幼女と美麗執事と少年お父様……とんでもねえもの見ちまった」
ダンジョン配信をしていたドレッドヘアーの男は、震えながら口を覆った。五階層にいて、階段を登ってきたところ、先程の不思議な一行の戦闘を目撃したのだ。コメントを見ると。
「なにあれ、やばない?」「幼女がワイバーンの片翼食べたって……そりゃそのままかじったらまずいだろ」「っていうかアマゾネスドロップ化のインターバルの間も殴り続けてたぞ」「お父様のあの黒いのなに? 新しいスキル?」「見たことないんだけど」「ティラノが勝手にコケて死んでなかった?」「どゆこと」「美麗執事結局戦わなかったな」「アイテム袋以外にドロップアイテム収納できるの?」「杖型の収納袋なんじゃね? 知らんけど」「スネークしてくれ」「はよ」
様々な憶測が流れとどまることを知らない、勝手なコメントに、恐ろしさに震えていた男は。「そんな生ぬるいもんじゃねえよ」と言おうとして、口をつぐみ。配信を切った。
スクナたちと鉢合わせしないように、さっさと階段を出て三階層を目指したのだった。
もし少しでも面白い、続きが気になると思いましたらブックマークや評価をくださると嬉しいです。




