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「我らが父よ、どうかしましてぇ?」


 怪我でもしたのかと不安げにシュブが尋ねると、ぽそり。


「もっふもふだった。紙なのに……なんで?」


 立体折り紙でできているグランサーシープ。

 当然紙でできているため、当たればそれなりに痛いと考えていたスクナだったが、その予想は外れた。

 なんだか複雑そうな顔をしているスクナを、微笑ましく見守るシュブとヨグだったが、絶叫が響き渡る。

 ナイアだ。


「だああああ! もううっぜぇっす!!」


 苛立ったナイアの身体から、じわりと黒い霧が滲む。目を極限まで見開いて、額に青筋を浮かべている。

 グランサーシープの攻撃自体は痛くはないものの、相当鬱陶しかったらしい。這い寄るように範囲を広げるそれに触れた途端。

 グランサーシープたちはぽぽぽぽぽんっと軽快な音を立て。全て消えた。羊毛が三つ、大きな葉に包まれた肉が一塊、魔石が一つを残して。十匹以上いたはずだが、ドロップアイテムは五つ。思ったより、ドロップする確率というのは低いのかも、ヨグは思った。

 ドロップアイテムを拾って、スクナに見せているナイア。その顔は先程までとは違い、でれでれとしている。こういうのをやに下がるというのねぇ、シュブは小首を傾げた。原因は。


「へー、お肉落ちるんだ。ジンギスカンができるね。ナイア、よくやった」


 スクナからのお褒めの言葉に他ならない。

 しかもこの流れで行けば、スクナが作ってくれそうな。敬愛する我らが父手ずからの料理、控えめに言ってすごく嬉しい。

 ナイアはその興奮のまま。グランサーシープの群れに突っ込んでいっては、肉をドロップさせていた。

 当然何処にしまうの? という問題が出てくるが、スクナの杖の収納庫に閉まっておくことにした。

 それでわかったのは、グランサーシープがドロップするアイテムが羊毛、肉、魔石、角ということだった。角は特に珍しいらしく、羊毛と肉が山になる一方で二つしかドロップしなかった。

 それより珍しいのが宝箱で、ナイアは一つもドロップしなかった。ヨグの生物(モンスター)学でもそうであると出ている、と申告したため。羊狩りは、スクナの満足そうな顔で終了となった。

 奥に進むと階段らしきものが見え。


「我らが父よ、やっぱり登攀は必要だったんっすよ!」

「あれ、下り階段っぽいけど」

「うぐっ!」


 などというくだらないやり取りをしながら、階段を降りる。主にナイアが構って欲しさにスクナに話しかけていただけだが。

 そうして本で出来た階段を降りきった先に広がっていたのは、先ほどと同じ風景。

 グランサーシープに飽きていたスクナ一行は、それを無視して次の階層へと向かった。


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