⒁ ダンジョン攻略1日目
ゲートをくぐり抜けると、ウィルベリーの大樹が見える。ダンジョン<ニブルヘイム>の入り口に来たようだ。
目の前には大陸には存在しない文字列が、紅く円を描いている。
「<迷宮文字>って言われているんだよな。一説には魔法戦争前の錬金術に関係する文字だと言われてたっけ。」
ルオは円に自分の血を一滴たらした。すると文字列がひかり、異空間ゲートが出現した。
「午前7時半、ルオ=ノレス。ダンジョン<ニブルヘイム>の攻略を開始します。」
ルオは異空間ゲートをくぐった。
——<ニブルヘイム>、第一迷宮一階——
『こちら、ラジエル。聞こえるか?』
「バッチリ聞こえるよ!」
『ならよし! <連絡鳩>もバッチリ機能しているぞ!」
ルオの頭上には機械仕掛けの鳩が飛んでいる。連絡鳩、伝書鳩のようなもので鳩の眼から映し出されたものを、リアルタイムで専用のモニターに映し出す、魔導具だ。
『最大狂度40%下まで活動できる優れものらしいぞ!!』
(超高額製品じゃん。)
『あの老賢者の出費だから、気にしないでおくれ!』
ウィンデの声も聞こえる。
『お主はさっさと職場に戻れぃ! ……ふぅ。ルオ君、今のところ何か問題はないかの?』
「うん、迷宮群の第一迷宮の一階だね。」
第一迷宮は洞窟である。生存者によると一つ目の迷宮は全十層まであるそうだ。難易度は一等星魔術師クラスならそこそこの難しさらしい。
『道中危険があればすぐに報告する、敵種との戦闘は邪魔にならない程度にサポートするので良いか?』
「それでよろしく!」
ルオは第一迷宮の攻略を開始した。
ザシュッ!
蝙蝠型エネミーが魔石を落として霧のように消えた。
『けがはないようじゃの。』
「あぁ、ちょっと手こずったけど難なく倒せたよ。」
ルオは魔石を拾いリュックサックにしまう。
『今は五階じゃの。もう半分か。』
「うん、そこまで迷う道じゃないし、エネミーも強敵ってほどではないね。」
『油断は禁物じゃ、情報によればこの階のフロアポイントに<ショップ>があるみたいじゃ。』
「了解。」
フロアポイント、ダンジョンの全ての階層に存在する場所で、階と階をつなぐエリアである。中間地点や最終層直前に<ショップ>と呼ばれる施設があり、そこで食料品などの物資をかえたり、無人の休憩所まである。
『我はダンジョンという存在が各地で初めて出現する前に眠っておったからの、今回が初ダンジョンだが、本当に不思議なものじゃの。商業化もできそうじゃ。』
「残念だけど、商業化には至ってないんだ。ダンジョンは最終層を突破すると消滅するシステムになってるんだ。未だ発生メカニズムが不明でどうやって維持しているのかも分からない。商業化はまだまだ先の話だよ。」
『夢の話ではないということは、いずれできそうなのか。…………おっ、その先がフロアポイントじゃぞ。』




