⑻ 本に栞を挟んで物語をすすめる
「へぇ~、木星の勇者は皇族ってわけか。全くの予想外だよ。」
隣にいるウィンデヘェルは言う。
「ウィンデヘェルさんもご存知では無かったのですか?」
「七王はあまり正体の探り合いはしないんだよ。探り合い自体は禁忌では無いのだけど、好ましくない認識だから。だとしたら不思議なのはどうやって選ばれるかだけど、それはナイショで。」
ウィンデヘェルは口にスッと人差し指を当てた。
「2回目ですが、謎が多い組織なんですね。」
「教会ほど長くは無いけど、一応魔術・魔法社会の秩序を担ってきたからね。君に言えることは多様な勢力から七王が選ばれてるってこと。パワーバランスは大事だからね。」
(皇族が選ばれたのなら、それの同等の勢力が同じ七王にいるのか。)
「そろそろ、私たちも<読書会>から退出しようか。もうお昼だし。」
ウィンデヘェルはお腹を撫でた。ぐぅ~と腹の虫がなっている。
「そうですね。改めて俺を助けていただきありがとうございました。」
「礼には及ばないさ。若手のために身体を張るのは年長者の役目だからね♪」
ウィンデヘェルはウィンクをした。
「で、帰り方はどうやるのじゃ? 案内人はもうくる気配もないし。」
ラジエルがムスッとした顔で言う。何か不満だったのか。
「ちょっと待ってね。」
ルオは机の上に置かれている開いた本に、七本の鍵を開いているページに栞のように挟んで閉じた。鍵は厚みがあるので七本すべて挟むと閉じることが不可能なはずだが、挟まれた鍵は一つの栞となった。
「これで帰れるよ。」
「何も変わっておらぬぞ?」
「いや、もう第二亜空間から出てる。」
「なっ!? ……本当じゃ。」
なんの予兆もなくルオたちは第二亜空間から出ていた。
「この我を驚かすとは、流石は七人の秘王。<古代魔術>を使うとは……。」
ラジエルはフッフッフと悪い顔をして笑っていた。
(子供がいたずらを考えているようにしか見えない。)
<知の天使>とは言っていたが、知らないことも多いようだ。……天使って何なんだ?




