⑹ 七王の読書会
<読了>とはグリモワールをただ読むことではなく、連合の法であるグリモワールをに従って採決を下すことである。
<再編>とは例外を肯定し、採決が無かったことにすることである。
これのどちらにするかを審議することを<七王の読書会>と言われている。
ルオのケースでは<読了>が魔術師剝奪になり、<再編>が剥奪回避となる。
グリモワールで既に禁書を無断で触れたものは例外なく剥奪されるとある。<再編>は海洋族が海を嫌いになるほどありえないことである。
『金星のよ。お主は<主人公>に加担するのか?』土星は言う。
<主人公>とは裁決を下される人物、つまりルオである。
「まぁね! 教え子だし、当時のことを知るのは私くらいだし。ちなみに私は<再編>に鍵を置くよ。」
すると金星の鍵は本からルオの元に移動した。
『終章前から決めるのか。鍵王の座をかけてでもして<再編>を所望するとはな……。』
月は言う。
「別に七王を辞めても私は大陸で有名なアイドルみたいなものだからね。こんな暗い組織よりも生き生きとできるしね。」
ウィンデヘェルはウィンクした。
『うす暗い組織であることには同感やな。』
太陽はうなづく。(とは言っても声が聞こえているだけでルオたちには分からない。)
『ウィンデは別にいいわよ! さっさと本編読み進めて!」
火星は待たされるのが嫌なようだ。
『そうですね、といってもすぐに終わりそうですが。』
木星は言う。
『ペンギンちゃん、それは違うよ。あの<傲慢の君>が<主人公>側に着いた。これは<再編>の可能性もありうるということだよ。そして<生命の冒涜>の獣たるルオちゃん。彼は2回目だよ。この前はどういう結果になったっけ?』
『<再編>に近い<読了>やな。魔獣に関する法は大陸諸国や教会ほど厳しくない。魔法生物の一種として研究対象になるから<研究部門>にお預けんとちゃう?』
『その後については危険ではないと判断されたため、<研究部門>からは解放されたそうですね。その後の2年間はフリーで過ごしていたため分かりませんが。』
月は言う。
『なるほど、つまりは長くなると。』
『っ最悪!』
ルオは僅かな可能性があると分かりほっと胸をなでおろす。
「といっても、ずっとこの状態ではないだろうね。」
ウィンデヘェルは宙に向かって声をかける。
『その通り、事前に金星が言った通りこの件は不慮の事故に近い。一等星の魔術師が厄介な禁書を見分けることは不可能に近い。禁書は教会の管轄、我ら魔術師が簡単に管理できるものではない。それに、禁書の中身の<知の羽>も<登場人物>になっている。』
「流石は土星の老賢者!話が分かる!」
『しかし、<再編>とはまだ決定できない。』
「……何故かな?」
ウィンデヘェルは頭上に「?」を浮かべる。目は笑ってないようだ。
『<主人公>には我らの依頼するとある件を解決してほしい。これの結果で<再編>の是非を決める。』
「依頼、ですか。」
『あぁ~、あれね。確かウィルベリー付近にあった奴よね? <冒険者協会>が立ち入り禁止したやつ。アレをライオンちゃんに任せるのね、なぁんがい話し合いよりもマシだから私は賛成! レクテを救ってもらった礼もあるし。』
『法律とは時代と共に変化するもの、か。<読了>を所望するがここは老賢者殿の意見に乗り、それを判断材料としよう。』
『長ちゃんは相変わらず硬いなぁ、ワイは面白そうやからええで。』
『ボクもそれでいいかな、<傲慢の君>が何を考えているのかは分からないけど。』
『私は、皆が納得するような結果であればかまわないので、ルオさんには頑張っていただきたいです。』
「私は早く<再編>してもらいたいけど、<再編>は難しいからゆっくり待つことにするよ。」
3年前と違い、七王は柔らかくなったようだ。ウィンデヘェルの助力もあるのだろうが。




