⑸ 鍵はグリモワールの上に置く
『お久しぶりだね。キマイラよ、存命だったようで何よりだ。』
ゲートをくぐるとすぐにエコーのかかった重みのある声が頭に響いて生きた。老人の声だ。
天井に仄かに光るランプが真っ暗な空間を照らしている。目の前には丸い石造りの年季の入った小さな丸机、そしてその上に一冊の本が置かれていた。
声の主は何処にもおらず、第二亜空間外から声をかけている。
『二度目なら説明は不要。序章は分かるよね。』
今度は子供の声がエコーがかって聞こえる。
ルオは「はい。」と返事し、本を開いた。
『ページは……なんやったっけ? とりあえず禁書関連のページを開いてや。』
今度は男性の声が聞こえる。
ルオは目次から禁書関連のページを開く。
『そうそう、402ページや。グリモワ使うなんて3年ぶりやから忘れてもたわ。キマイラ君もおおきに、そしてお疲れさん。』
『其方は私たちと同じ七鍵王。グリモワールの内容を忘れるなど言語同断。ノレス殿の後には其方の辞職について行うとしようか。』
はきはきとした女性の声が聞こえる。
『そろそろ、ライオンちゃんに鍵を渡すべきじゃない? 私この後予定あるから早くしてほしいのだけど。はい、火星の鍵ね。』
少女の声が聞こえる。そしてどこからか光に包まれた赤い鍵が現れる。
『ノレス殿、其方に月の鍵を託す。』
『同じく太陽の鍵をワイも渡すで。』
白金の鍵と橙色の鍵も続いて現れる。
『汝に我が土星の鍵を。』『水星貸すね~。』黄土色と水色の鍵も現れる。
机の上には5本の鍵が並ぶ。
「後2本か。」
『2王は2年前に代替わりしのだ。少々遅れるだろうが、赦してほしい。』
月の鍵の主は謝罪する。
『ワイも遅刻したかったけど、フウキインチョウがやかましくてな。おっ、来たみたいやで。』
『すみません、遅れてしまいました。2年前から木星の鍵を務める者です。あっ、鍵お貸ししますね。』
青年の声がし、緑の鍵が現れる。
『後は、金星の方ですよね。』
『あの阿呆はどこにいるのかしらね、めんどくさいから始めましょうよ。』
火星の鍵主はあくびをする。
「グットモ~ニング! 七人で合うのは二年ぶりだね! 元気にしてたかい!」
ゲートから新たに人物が入ってきた。ゲートはもう閉じたはずだ。
「あっ、あなたは!?」
ルオは声の主を見て驚愕する。
「お、お前かぁああ~!!」
今まで静かにしていたラジエルもその人物をいて口を開かずにはいられない。
「無事に間に合ったみたいだね。昨日ぶりだね、ノレス君! 昨日はゆっくり眠れたかい?」
「ウィ、ウィンデヘェルさん!?」
ウィンデヘェルは机の上に金色の鍵を置いた。揃った鍵をルオは本の上に置く。
『金星の鍵、これで七本揃ったようだな。』
土星の鍵主は言う。
『では本編に進もう、テーマは禁書。これよりグリモワールの<読了>か<再編>を審議する。』
ルオは唾をごくりと飲み込む。
ついに魔術師剥奪の是非をかけた裁判が始まる。




