(73) 前を見て
禁術の内の一つ、<ゴーレム化>。肉体を魔導物であるゴーレムに変える術であり、呪い指定にもなっている。単純に肉体を一時的に変える術は<鋼鉄化>などあるが、<ゴーレム化>は違う。
魔導回路で命令を実行するだけの道具、それがゴーレム。知的生命体がゴーレムになるということは、脳が狂い、最後は自滅する。
「セラフィエルは魔導回路に生命体の殲滅をオーダーしたようじゃの。会話は可能だが身体はオーダーに従うことしかできず、あやつ自身でも止めることは出来ない。」
「<ゴーレム化>は魔導術であり、呪いでもある。ならば解呪するだけ。魔導術の解呪はまだやったことが無いけど、やるしかない!。」
「我もサポートするから安心せい!」
ルオは目を閉じ、魔術<可視>でゴーレム化の術式を視る。
「これがゴーレム化の術式。初めて見た・・・。」
「どうやら鏡世の技術を使っておるの。道理で高度になっておるわけだ。」
「鏡世?」
「説明はこれが終わった後じゃ。この術式はプログラミング言語によって構成されたものじゃ、我も向こうの技術は管轄外じゃからの・・・。」
「じゃあ、どうすれば!」
「力技で解くしかない・・・。我のでは無く、もっと強力な力で・・・。」
「俺のか・・・。」
「できるか?」
「マジでやりたくないけど二人に時間をかけたくないから・・・。」
ファミラとツェルカは何とかゴーレムに食らいついているが、防御寄りなっており、倒されるのも時間の問題かもしれない。
「ルオ。」
「!? カイ!?」後ろを振り向くとカイが立っていた。レイグとの戦いで一番重傷なのは間違いなく彼であるのに。
「俺はお前ができるって信じてる。」迷いのない目でルオをまっすぐと見る。
「でも、もし解呪できたとしても後に何が起こるのかは明確には分からない。制御すら難しいし・・・。」
「もしもの時は俺が何とかする。荒事は得意分野だからな。」
「カイも腐っても守護者の血をひいているからな。それにファミラもおる。魔獣の力が暴走しても止めることができるであろう。」
ラジエルはルオ手を握る。
「我がいればお主の力も制御できる。百人力じゃ!」
「・・・ありがとう。やってみる。」
カイはうなづいた。
「俺もあの二人に加勢する! 頼んだ!」
カイはゴーレムの方に走っていく。
「カイ・・・。前見てね。」
「ん? ごはっ!?」
カイはルオの方を見ながら走っていたので、当然前を向いておらず目の前の柱にぶつかった。
「「え~・・・。」」戦っていた二人もカイを見た。
「くっ、これが<ゴーレム化>と呼ばれる呪いの力か。」
『僕何モシテナイケド。』
レイグも対応に困った。




