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あなたにおくる魔法の教科書  作者: 珍獣モフ犬
第一部 とてつもなく長いプロローグ

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(71) 裏切り

「・・傀、儡?」

「そ、僕のコア魔法たる<忠誠>によって隊長ちゃんは、僕の命令に従うしかない人形になってしまったのです。」

「どう、して・・・。」ツェルカは持っていた弓矢を手から落とす。カンッコロンと音を立て弓は静かになる。


「これ説明しなきゃならないの?さっき面倒だからって言ったのに。」

「魔法<忠誠>。・・・術者に信頼を寄せたときに発動できる魔法と言われているが、実際は信頼を寄せた後に弱みを握られたときに発動できる。おそらくメラリアという者はセラフィエルに何か弱みを握られたのだろう。セラフィエルは人に信頼を寄せさせることは容易いが魔法で傀儡にしている所は何千年も見たことがないからな。」

「ラジエル・・・。」

「正解だけど、なんでお前に説明してもらわなきゃいけないかな。最悪。」

「最悪なのは我の方じゃ。我の眠っていた遺跡(寝床)で<破空>を発動させようとしていたなんてな。アレを起こすということはおぬしの狙いはやはり・・・。」

「またまた正解。さすがは知を司ると言われている天使だ。」

「メラリア殿にかけた傀儡を今すぐに解け、2年前からかけているのならば彼女の精神と身体は無事じゃすまない!」

 

 隊長は虚ろな目をしており、身体からは出血があちこちとある。


「僕にメリットあるの?」

 レイグは魔術で腕を再生しようと試みるが、何故かできずに「ちっ・・。」と舌打ちをする。


「どうして・・そんなことを。」

「フィレスティナ。」

「ふぃれす?」ツェルカは聞き覚えの無い言葉に疑問を浮かべる。

「隊長の本名だよ。多分レヴァンネという姓はレクテ王国でもらったものみたいだけど。隊長ちゃんは本名を隠してたがってたんだよね。彼女が何者かは僕もまだ分からないけど。

 僕が彼女の本名を知ったとき、彼女はなんて言ったと思う?

 なんでもするから本名を他のみんなに知らせないでってさ。

 だから僕は魔法を使えたんだ。いや、使うべきと思って使ったんだ。」


「ひどい・・・。」ファミラは言う。

「ひどいって、なんでもって言うからでしょ? あっ!そうだ! ツェルカ君! 君が僕の味方になってくれたら魔法を解いてあげるよ♪」


「え?」

「ツェルカ君にとってメラリア隊長は大切な人なんでしょ?ルオ君たちよりも優先すべきことなんじゃない?」

「・・・。」ツェルカは一歩一歩レイグの方に寄っていく。

「ツェルカ先輩!」

「君ら4人は動かないでね。動いたら隊長がどうなってもいいのかな?」

「このやろぅ。」ファミラは拳を握りしめる。


「ツェルカさん・・・。」ルオは離れていくツェルカを眺める。


「味方になるにはどうすればいい?」

「4人をしばらく動けなくしてくれないかな?ルオ君だけ生きてたら別にいいから、他は殺してもいいよ♪」

「・・・分かった。」

「先輩!!」

 ファミラの声は届かず、ツェルカは隊長のそばに立った。


「獣技<ブラッド・ホール>」

「「「「!?」」」」

 (血が、吸われていく!?)

 4人は貧血で立つことが難しくなり、膝をついた。ラジエルに至ってはまた気を失っている。


「ちょっと手間がかかったけどようやくだ・・・。さてと・・・。」

 レイグは一瞬だけ隊長にかけた魔法を解除した。メラリア隊長は糸が切れたマリオネットのようにプツンと倒れていった。

(なんで本当に解除を?)

「天使と魔獣の魔法反発は被害は甚大になるけど<破空>は起動するだろうから・・・。」

 レイグの魔法がルオの心臓である魔狂石に送りこまれようとする。

(ヤバいっ、このままじゃまた同じことが・・。)

 <ブラッド・ホール>と呼ばれた謎の技で身体が言うことを聞かず、ただ思うことしかできない。

 

 バシュッ!


「なっ!?」

 ツェルカは魔法を解除した一瞬を狙いレイグの背後に周り、魔力矢でレイグを射た。

「好機!」

 そのスキを逃がさずにカイがレイグに蹴りを入れ、ルオから離れさせた。

 

「何故裏切った!? ツェルカぁ!」

 予想外の出来事にレイグは怒鳴る。魔力矢によって傷を負った背中は治癒魔術によって少しづづ回復している。

「メラリアが、・・・フィレスティナがこんなことで元に戻しても喜ぶわけないでしょ。」

 隊長に治癒魔術をかけているツェルカは言った。



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