(67) 私は幸運だった
2年前のあの日、人に擬態した魔獣を見つけた。
他の騎士達はただの魔術師としか分からないようだが、その身に宿る禍々しい魔力は天使である己はすぐに気づいた。
あぁ、コレは使える。
魔獣という人工物の災害ならこの世界に穴を開ける鍵になる。
今までずっと血眼で探してきた方法はあちらからやってきた。なんて幸運なことなのだろう。
しかし問題点があった。
魔獣らしさが無い。エトンやケートス、ヒュドラの様な魔獣の本能に従い世界を汚し狂わさる様な事をしない。
生まれ方が特殊だったのだろうが、これでは計画に支障が出る。
だが私は幸運であった。
つい最近魔法の力で深海の深くから地上に現れたクローギヌ遺跡。ここには出来損ないの天使が我が主によって封印されていたのだ。
ラジエル・・・、元ネタとなった天使とは大違いの無能。かの世界の天使達に申し訳ないほどだ。
必要なのはラジエルではない、遺跡だ。遺跡にはビセアの古代魔術<破空>の残滓が残っている。
この術式に狂った魔力を注げば術式は暴走し、空に穴を開けることができる。乱暴で周りの土地や命を亡き者にするが、別に何も問題はない。
2年かけてあの魔獣と親交を深め、待ち合わせの傭兵達を全て使い、あと一歩で空を破れる所だったのに、だったのに
奴がラジエルの書で魔法反発を起こし、邪魔が入ってしまった。これによる爆発で空を破れると思ったが所詮ラジエル。空には届かなかった。
仕方なく教会で捕えて処刑して死体でなんとか計画を再会しようとしてたのに、
あの元奴隷が攫っていた。
私は幸運だったよな?だったよな?ダッタヨナァ?
メラリアにかけた術に気づいた騎士も排除した。
地の隊の長も私の指示にでは無いが、帰って行った。
これでもう誰の邪魔も入らない。
あの魔獣は必ず私を止めにここに来るはずだ。
そこで出来なかった計画を再開しよう
ああ、ようやく貴方に会える。




