(63) もう一つの視点
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「クローギヌ遺跡?」
「そう、最近見つかったやつね。あの雑魚天使の眠る場所。」
「雑魚天使?」
「この遺跡はと~っても危険だから、獣ノ隊全員でご一緒していただきたいんだよね?」
「そんなに?だったら竜ノ隊になるのでは?そうでないと人員が・・・。」
「人員人員人員って言ってたら獣ノ隊が本当にお役御免になるよ?」
「それは・・・。」
「避けたいよね? じゃあみんなによろしく。隊長もすぐに賛成してくれるから♪」
「?」
ツェルカは副隊長レイグの意見にいまいち賛同できなかったが、獣ノ隊の現状が現状で一刻も早くに功績を上げなくてはならなかった。でないと自分の居場所が・・・。
「全員となるとファミラもか・・・。」
「ファミラ? 誰それ?」
知らぬ名前にレイグは振り向いた。
「数年前に入隊した私の馬鹿な後輩ですよ。戦闘は獣ノ隊の中でトップクラス、いやきっと教会騎士の中で。」
「そんなに強い子がいたんだ? なんで知らないんだろ? ・・・あいつのせいか。」
「副隊長?」
「何でもないよ♪ ちょっと隊長に聞きたいことができたから、じゃあね~。」
「あ、はい。」
レイグは早足で部屋を出ていった。
「ファミラも段々認められたのか。・・・腹立つな。」
言葉とは裏腹に笑みがこぼれた。
数日後、クローギヌ遺跡にて
「全員って言ったくせに、ファミラ来てないじゃん。」
「ファミラは寝坊のようだ。そろそろレイグ達が来る頃だし、遺跡の調査はここで切り上げるぞ。」
「え? でも、まだ深部が。」
「隊長命令だ。反論があるものは<聖剣を捨てろ>だ。」
「分かりました。」
(隊長、どうしたんですか。)
クローギヌ遺跡での調査中、いや、ここ最近隊長がおかしい気がする。元冒険家の隊長が深部を調査しないなんてありえないし、異論があってもしっかりと平等に聴いてくれる人物だ。一体どうして。
「これは、入り口付近の大まかな地図だ。探索に役立てるといい。」
隊長が地図をレイグに渡した。レイグは地図を受け取ると、彼直属の部下と明らかに獣ノ隊ではない一般魔術師と一緒に遺跡の中に入っていった。
「・・・隊長、今の魔術師誰ですか?」
「・・・。」
「隊長?」
隊長は人形化しているかのように何も答えず静かに遺跡の入り口に立っていた。
隊長の身に何か起きている・・・。疑問が確信へと変わった。だがそれを言い出すことはツェルカにはできなかった。もしも、言ってしまうと自分の身が危ない。 臆病な自分が邪魔をしていた。
ズドォオオオン!
「今の何!?」
大地が悲鳴を上げるように揺れ動き、遺跡から歪んだ魔力があふれだした。
「この魔力! 魔獣の!?」
ツェルカは咄嗟に弓を構えた。本当に魔獣なら獣ノ隊は今日ここで終わる・・・。
入り口で立っていた隊長はまた痙攣したかのように震えて、
「全員、突撃!ルオ=ノレスを確保しろ!」
(どういうこと?)
ツェルカは訳が分からないまま命令に従い遺跡の中に入っていった。




