(61) ルオとグイレ
「・・・、ん? ここは・・?」
目を覚ますと、目の前には大きな台がありその上には魔法陣が置いてあった。ルオは立ち上がり、辺りを見回した。さっき倒れた場所ではなく、移動したようだ。
台の横には一冊の本が置かれてあった。その本は僅かだが魔力を帯びていた。おそらく魔術書なのだろう。
「気が付くの早いなぁ~。もしかして魔法弾に耐性がついてるの?」
振り向くとグイレがいた。そして、グイレの後ろには<羊の群れ>がいた。
「グイレ・・・。 どうして・・・、こんなことを・・。」
いつもの荒々しい口調はなく、ゆったりとして口調で、あまり見たことのない笑顔だった。その笑顔は気味が悪かった。
「わが主の命を遂行しているだけだよ?」
「主?」
「そう、僕の主。僕に任されて仕事はどうしても魔法生物の力が必要なんだよねぇ。」
「魔法生物?」
「天使とかぁ、悪魔とかぁ、そして、魔獣とか。」
「!?」
ルオは悪寒が走り、後退りをした。
「2年前かな。傭兵として潜入してた時に、ちょうど君と出会ったんだ。最初はどこにでもいる魔術師と思っていたけど、魔力が人のものではなかった。正確には人族かのように振舞っている魔力だった。
そして君のことを調べつくした。<魔術連合>の一等星魔術師であること、今は帝国在中であること、そして、9年前のこともね。」
「・・・。」
ルオはバレないように、右手を後ろに回し、魔術の発動を始めた。
「で、君が<テュポンの魔獣>であることが判明した。」
(これでバレたの2人目か。しかも、ヤバそうなやつに・・。)
ルオは視線を動かし、逃げ道を探し始めた。
「魔獣<キマイラ>。確か500年ちょいに作り出された魔獣だっけ? 魔獣の姿はライオン、牡山羊、蛇を混ぜ合わせた姿で、口から火を吐くとか。 ほんとに吐けるの?」
「知りたければ、ここから逃がしてくれませんか? まだ死ねないので。」
「それはできないなぁ~。 君がいないと主の願いが叶わないんだよぉ~。だからぁ~、・・・死んで。」
グイレは大剣を持ち、ルオの方に向けた。
ルオは命の危険を感じ、スタンバイさせておいた魔術をグイレに打ち込んだ。
ドゴーン!!! ガキィィイン!!
衝撃で遺跡の建造物にヒビが入った。
両者は拮抗し、大剣と魔術は互いに押し合い、火花が散っていた。
「俺を殺すということは、<魔狂石>が狙いですか!?」
「その通り! 流石は優秀な魔術師!」
「<魔狂石>を使って一体何をするつもりですか!」
「魔法を使い、わが主を<受肉>させることさ!」
「<受肉>? お前の主は何者だ!?」
「それは、君が<魔狂石>を僕に渡してくれたら教えてあげる、よ!」
ドンっ!
「いっっ!・・」
ルオは押し負け、壁に打ち付けられ、血を吐いた。
「その赤い血も人族に見せるためのカモフラージュだね。 でも、中身はごまかせてない。」
ザッザッ
グイレが段々と近づいてきた。
「今ここで死ぬわけにはいかない!」
ルオは体に鞭を打ち、さっき見つけた本の元へと走った。
「どこにいくつもりぃ? 僕たちから逃げられると思うの?」
<羊の群れ>はルオを逃がさないように、グイレとルオを取り囲み、臨戦態勢をとっていた。
「それは、これを打った後にね!」
「それは!?」
「こんなところに魔術書があるなんて、ほんとついてるよ!」
「・・・おい、まさか、それは!? ・・やめろ!」
グイレは血相を変え、ルオの持つ本を取ろうとした。
ルオはグイレの手を躱し、本を開いた。
「魔力全開! 全魔術発動!!」 魔術書はひかり輝いた。
ズドォオオオン!
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「・・・・。 え?」
目の前は
生温かい液体が広がっていた。




