(59)ルオと<羊の群れ>
6話と22話を閲覧した方がわかりやすいです。(モフ犬もそうしました)
数週間前
「今回は俺と一緒にこの遺跡に参加してくれてありがとう。」
「どういたしまして。依頼の報酬が良かったからな。」
「報酬って、<封石>? 現代の魔術師が正式にお手上げした、あの石だろ? 売ってもプラスどころかマイナスになるぐらいの価値だったよな。」
ルオは<羊の群れ>の男が持つ<封石>を眺めた。どこにでもほいほい出るし、<封石>を解明したい魔術師なら100は持っててもおかしくない石だ。
「まさか、お前たちもその石を解き明かしたいのか!?」
「いや、まさか。 ただ、今必要ってだけだよ。」
「何に使うんだ?」
「企業秘密さ。それより、<学園>や連合の連中は?」
男は昨日泊まった宿の方角を見た。
「ちょっと遅れるみたい。昨日、あいつら夜明けまで遺跡の考察大会してたから。俺も混ぜて欲しかったけど眠くて参加しなかったんだ。」
「道理で昨日の晩が音系魔物並みにうるさかったわけだ。で、ちゃんと来るんだろうな?」
「大丈夫、今頃あらゆる魔術を使ってこっちに向かっているはずだから。」
「それならいい。 ・・・せっかくの生贄がいなかったら、この計画はパーなんだからよ。」
「何か言った?」
「いや、別に。」
ー思えばあの時、彼らの言動を怪しむべきだった。遺跡に入る前から妙だったのだから。
だがそれも、過去となってはもう遅かった。ー
「・・・遅いな。」
「うん。遅いね。」
「親方ぁ~、まだ出発しないんですかぁ~。俺たちもう限界です!」
親方と呼ばれた男の部下である傭兵の一人が、しびれを切らして言いに来た。
「・・・ルオ。 ここはもうお前と<羊の群れ>だけで行くか?」
「え? 説明とか聞かずに?」
「お貴族様の学校の遠足じゃねぇんだ。 説明されても現場見なきゃわかんねぇだろ。」
「それもそうだけど。」
<羊の群れ>は13人という少数精鋭だが、腕はかなり立ち、教会騎士並みの実力を持つといわれている。彼らとだけでも大変心強いが、ルオは先に行く気にはなれなかった。
「元々複数のパーティで行く予定だから、先に行っても問題はないだろうけど。俺がゼルク達よりも先に行くのはちょっと・・・。」
「相も変わらず結局それか。 ・・・ま、その方が俺たちも楽にできるんだが。」
「?」
「ゼルクの方は俺が後で言っとくから! さっさと行かねぇと、俺の部下が限界なんだよ!
お前らぁ! 出発するから早く立ち上がれぇ!」
『イエッサー!!』
傭兵たちは親方の声ですぐさま立ち上がった。
「えぇ~。う~ん、仕方がないかぁ~。」
ガシャンガシャン
ルオたちがいざ出発するというとき、遺跡から鎧を着た者たちが次々と出てきた。
「俺たち以外にも、ここに人が? どうして?」
「・・・タイミング、バッチリじゃねぇか。」
「グイレさん?」
「いや、なんでもねぇ。」
グイレはルオには見えないように手で何らかの合図をした。すると先頭に立っていた女がビクッと痙攣したかのように身震いした。
「お前たちは遺跡の調査をするのか?」
女がルオに質問した。
「はい、そうです。連合の許可も下りています。」
「私たちは教会騎士で、遺跡の入り口付近の調査をしていた。安心しろ、深部の探索はしていない。」
「そうですか、ありがとうございます。」
「これは、入り口付近の大まかな地図だ。探索に役立てるといい。」
「ありがとうございます!」
自分たち以外にも遺跡を訪れた人がいたのには驚いたが、出会ったおかげでいいものを貰えた。
「では気を付けていくといい。」
教会騎士たちは去っていった。先頭の女の動きが少々妙だったが・・。




