(58) ルオと嘘
久々に再開しました。
「怪我は大丈夫ですか?」
ルオはとりあえず、ほぼ初対面の人に敬語で質問した。
「そこの治癒術師のおかげでね。ありがとう、助かったわ。」
「どういたしまして。」
クレーネは微笑んだ。
「それで、副隊長さんはどうしてクローギヌ遺跡へ? あの場所はラジエルが封印されてた場所だけど。」
「不明だよ。以前の時も。あ~、そういえばあんたは遺跡への遠征、ハブられてたんだっけ?」
「うん、隊長直々にね。なんでだろう?」
「あんたが獣ノ隊で毎度のことハブられるのは分かるけど、隊長が遠征を拒否ったのは分からない。」
(・・・ハブられてるんだ。毎度・・。)
出会ってまだほんの数日であるため、ファミラのことは何も知らないが、仲間に除け者扱いされるのは不憫だと思った。
「ま、あんたがいてもいなくても何も変わらない危険度だったけど。」
「大変だった?」
「全然。ヨユーだった。予想外を除いて。」
ツェルカはルオのほうを見た。
「まさか私たちのほかにもう一人いたなんて・・・。」
「一人? 遺跡の入り口で獣ノ隊と鉢合わせしましたよね?」
「確かにそうだけど、鉢合わせしたのは部外者であるあなただけよ?」
(どういうこと?)
ツェルカの言葉が信じられなかった。
「う~ん。僕は全く知らないから、遺跡で起きたことを二人それぞれで話してみてよ。どこかで食い違うところがあると思うから。」
「ギヌア様・・・。」
「副隊長君の動向もわかるはずだしね!」
ギヌアはウィンクをした。
「ルオの方は私とファミラさんが聞きましたから、僕が簡潔に話しましょうか? 私、文章をまとめるのが得意ですし。」
「君が聞いたのは嘘のだろ?」
(げっ!)
ルオは冷や汗をかいた。
「「嘘だったの(ですか)?」」
ファミラとカノムがルオの方に振り向く。
「ごめんなさい。嘘でした。」
ルオは土下座のスタンバイをした。
「どうして嘘をついたんですか? 信用を失いますよ?」
グサッ
(”信用” とかの言葉を使わないでくれ、痛いから・・。)
「ルオ君がついた嘘は君のためだと思うんだ。」
「私のため、ですか?」
「そうだよ、カノム君。・・・子供にはまだ早いから。」
「私はもう、子供では・・・。」
ドサッ
言い終わる前にカノムは床に倒れこんだ。
「<睡蓮の妖香>・・・。」
それは東にある妖乱島という超危険地帯にある眠り薬である。
「ちょっと昔に妖乱島で暴れたときのお土産なんだ。使えてよかったぁ。」
眠ったカノムソファに寝かせ、さっきの続きを再開した。
「君の不安要素たるカノム君は、寝ている。これでもう正直に話せるんじゃない? クレーネとカイも君の事情は理解してくれるはずだから。」
「恩人の方が何であろうとも受け入れますので。安心してください!」
「俺はウィルベリーに危害を加えなければいい。」
「ファミラは・・・?」
ルオはファミラの方を向いた。彼女は「ん?」と首を傾げた。私がどうかしたの? と言いたげな顔だった。
「それじゃあこれが本当のことです。
遺跡でラジエルの書を開けたとき、俺、キマイラの魔獣の力が暴発して一緒にいた仲間を、殺しました。」




