(65) 隠れ蓑と
宝箱から出てきたのは、謎の紙切れと真っ黒なマントだった。
「何だこれ?」
「ルオさんは二つですの?」
「え? メリーは?」
「メリーはマントだけです。」
紙切れはルオだけにあるようだ。
「何か書いてあるのか?」
気になったラジエルが駆け寄る。
「う~ん、よく分からない記号? 文字が書かれてある。」
「我にはなんにも見えておらんがな。」
「メリーもです。」
2人は首を横に振る。
「うそでしょ。俺の眼がついにヤバくなった?」
確かに夜遅くまで本を読んでたりはしてたけど。
「いや、ルオ君にしか見えない仕掛けなんだろう。迷宮報酬の一部にはクリア当事者にしか効果のないものもあるしね。ラスダンのボスがヘルだったし、ルオ君が特別待遇って感じだろね、、ま、メリーは正規ルートで入ったんだろうけど連合的にはアウトだからね。」
「うぎゃ!? まだおぼえていたんです!?」
「当たり前でしょ? ルオ君に散々迷惑かけたんだから、帰って五つ星レストランでご飯食べたら反省文書いてもらうからね!!」
「お、お手柔らかに……。」
メリーはルオの方に避難する。
「あははは……。」
ルオは苦笑いをする。
「紙切れは一旦置いておき、そのマントは何じゃろうな?」
「魔法具分析機器で調べないと正確には分からないけど、来てみた感じ何か身体に違和感がある。」
「毒性マナか!?」
ラジエルは慌てて着ているマントを剝がそうと引っ張る。
「いや、そうじゃなくて、これを着ると俺が魔法生物ではなく人間って感じになる。」
「何言ってるんです?」
メリーは冷めた目で見る。
「いや、ほんとなんだって! メリーも着てみてよ!!」
「仕方ないですね~。 ……あっ、本当です! なんかメリーが悪魔じゃなくなった感覚になるです!!」
メリーも羽織ると不思議な感じになったようだ。
「ほうほう、つまりこのマントは魔法生物を人間とごまかす機能があるようじゃの。ひとまず毒性マナなどの危険な代物ではなくて安心じゃ。」
「毒性マナはむしろ俺サイドの栄養分なんだけど……。」
というか毒性マナは人間にとっての毒性でしょーが。とルオは心の中で思った。
「この前、魔力毒性論という学問の本を読んでおってな、つい……。」
流石は知恵を司りし天使だ。自分も見習わないと……。
「人間とごまかす魔法具、か……。2人に、特にルオ君にとってはありがたい報酬だね!」
ウィンデはうんうんと嬉しそうに喜ぶ。
「今考えられる欠点は、マント自体は隠せないということですけどね。」
「それでも、レクテの中心部や反魔法生物団体からは隠し通せるんだから。」
「そうですね……。これなら安全に大陸北部に行くこともできますね。」
「大陸北部に何かあるんです?」
「大陸北部の国、フロフィノ王国は、反魔法生物思想が強くてね、見つかったら永久拷問になりかねないほどなんだ。」
「ひえっ!」
メリーは恐ろしさに後ずさりする。
「そして、その国には俺の今の家族が住んでるから、行きたくても行けなかったから、これは本当にありがたい。」
ルオはあの元気で懐の深い両親のことを思い出し、懐かしさで笑みが漏れる。
「良かったのう、ルオ君。」




