(53) 駒が揃いゆく
よく来れたねラジエル
——ラジエルたちが<ヘルヘイム>に転移する前——
3人だけになったになったモニタールームでは、ウィンデとラジエルが慌ただしく動いていた。
「お二人とも一体何を?」
「「ルオ君を助けに!!」」
いつも低IQの喧嘩をしている2人とは思えないほど息ピッタリだった。
「そんなことより、ウィンデ! 転移魔術の準備は?」
「できてる!!」
「転移!?」
セバスチャンは驚く。迷宮の入り口は一つだ、転移で入れるわけがない。 いや、確か世界最強と呼ばれた七鍵王ウィンデヘェルなら可能なのか。
「今からだと遅くないですか!? 各ダンジョンボスは倒されていても、第4の影響が……。」
セバスチャンは言うが、ラジエルはキョトンと首をかしげる。
「何を言っておるのじゃ? メリーの元に今から行くからそんなことは問題ないのじゃ?」
「な!?」
そんなことができるのか……。自分が知る限り迷宮のいる特定人物の元に確定転移するなど、魔術では不可能だ。
「メリーは今、フロアポイントに超高速で戻ってもらった! いつでも行ける!!」
「流石世界最強!! ルオ君を助けられなかったがそっちはできるのじゃな♪」
「ぐはっ!」
ラジエルはルオを助けてくれなかった恨みをしれっと晴らす。
「おい、お主はどうする?」
「私ですか?」
「お主は行くのかと聞いておる。今まで行きたくても行けなかったダンジョンの、しかもラスダンに。魔力狂度はあるが、ウィンデの万能パワーで何とかなるかもしれんぞ?」
「貴方様もルオ様と同じように……。」
「で、行くのか?」
セバスチャンは一度考え、
「いえ、今の私はセバスチャンですから。」
「そうか……、ダンジョン攻略が終えたらルオ君に謝ってもらうからの。首を洗ってまっておけい!」
「……、承知しました。」
ラジエルという子供も自分が何者かを見抜いているようだが、そんなことは自身の<正義>のためなら何も障害ではない。
「ラジエル!!」
「分かった!!」
ウィンデが黄金の光を輝かせている。先ほどの<傲慢の法>で現れた現象と同じだ。
「絶対成功させるのじゃよ!」
「この<傲慢>に失敗という言葉は無いよ! 行くよ!! <傲慢の法>!! 私とラジエルはメリーの元にたどり着いた!! そしてルオ君を救出し、ラストダンジョンボスも撃破した!!」
シュンッ!!
先ほどとは違い、過去形であった。
2人は黄金の光に包まれ、粒子となり<ニヴルヘイム>の元に転移していった。
「……、あれが魔法生物の力……。」
一人部屋に残ったドワーフの青年はそうつぶやいた。
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