(51) 隠し事
問題! 隠し事をしている人は何人いるでしょう!
「ダンジョン内の様子は!? ルオ=ノレスとメルセリスの安否は!?」
「メルセリスさんのみ確認できてます!」
「それは分かってる! あいつの方だ!! 真っ黒な何かに飲まれてから映像が途切れた!!」
「それについてはノーコメントじゃ。」
「どういうつもりだ、クソガキ!」
「クソガキではない、大天使ラジエルじゃ。」
「……大天使?」
「ルオ君は我とまだ少しだけマナが繋がっておるから、現時点では無事の用じゃ。」
「……そうか……。」
「ルオ君のいじめっ子だったらしいが、心配するのじゃな。」
「別に、ただ僕の貴族として、連合の職員としてのプライドが許せなかっただけだ。」
「そうか……。」
——現世、<魔術連合本部>、<ダンジョン管理部モニタールーム>——
ルオが魔獣であることは、このモニタールーム内ではラジエルとウィンデ以外は知らない。魔獣は一般的に悪オブ悪であり、見つけたら則通報即排除の認識である。魔獣本来が悪そのもので救いようが無く、ルオはオンリーワンな例外なのだ。
「あの黒いナニカは<ヘルヘイム>のトラップと思われるのじゃ。」
「その効果は?」
「相手を飲み込んだ後何処かの追跡不可能な座標に転移させられる仕組みかと。しかも精神汚染付きでな。」
「通りであいつの情緒が、学園の七不思議迷宮の時みたいに変になったわけだ。」
「迷宮は魔力狂度が高いからのぅ。」
当然嘘である。ルオは魔獣のコアたる魔法が、竜宮城の海魔を何回も吸収したことでアイデンティティが崩壊し、反動で<マギアバースト>が起きて、魔獣特有の真っ黒な血液があふれていった。その後、ラジエルがこっそりと連絡鳩の映像共有を停止させて、魔獣であることを隠したのが本当の事だ。
「メルセリスはどうだ?」
「メリー、聞こえるよね?」
『はい、聞こえるです、師匠。』
「うん、無事でよかったよ馬鹿弟子。ところでルオ君についてだけど、トラップに引っかかってどこかに転移させられたってことで間違いないね?」
『……。はい、間違いないです。ルオさんも人のことが言えないです!』
「流石にどこに転移してしまったは分からないかな?」
『及ばずながらです、謎の少女がカギになると思うです?』
「少女?」
ジャックは首をかしげる。
「あっ、あ~、成程!! 迷宮内でそんな少女の声が聞こえて転移トラップが起動したってことだね!?」
「ということは、ダンジョンボスの可能性が高そうじゃの~!」
「どうしたんだお前たち? というか僕たち何か忘れているような……。」
「そうなのか!? もしかしたらジャック子爵たち管理部のみんなは日々ダンジョンに関わってしまってるから、記憶障害でも起きたのかもしれない!?」
「確かにじゃ!! お主ら管理部は医務室にGO!なのじゃ!」
「お、おい!? 何をするお前たち!?」
ラジエルとウィンデの2人は急いで管理部の人たちを部屋から追い出す。
「……。嘘をつくのも大変ですね。」
入れ替わりで入室したセバスチャンはそう言った。
「お主だけには言われなくないのじゃ。」
答えは次回!
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