(50) 自称母
母?が来た
ねぇ、キマイラ……。僕と約束しない?
もう2度と………………。
————????————
「ん……。」
凍てつくほどの寒さで目が覚める。寒いが1階層の凍死級ではない。どこか優しいような……。
「あら、お目覚めね……。」
エコーがかかった冷たい無感情の少女の声が聞こえる。
「誰、ですか……。」
フッと少女が微笑む。顔はベールでまだ見えてないが。どうやらルオは声の主に膝枕させてもらってるようだ。後頭部に柔らかい太ももの感触がある。
「まずはあなたから名乗るべきじゃない? といってもワタシは知ってるのだけど……。」
「……、ルオ=ノレスです。」
「それは違うでしょ?」
!?
「ほんとうのあなたはだあれ?」
「……、<黒血派>の魔獣が1体、<生命の冒涜>です。」
「ふふ、ちゃんと言えてえらいわ……。ヨシヨシしてあげる。
少女はルオの頭を触る。死人にように冷たい。
「俺、ぶっちゃけ500歳なんですけど……。」
「私に取ったら赤ん坊同然よ、キマちゃん♪」
「キマちゃんて……、じゃあ、あなたも名乗ってもらえますか? 俺が名乗ったんですから。」
「そうね、まずは起きあがろっか♪ できる? 手伝おうか?」
「結構です!」
ルオは体中の痛みは苦しみに耐えながらゆっくりと起き上がる。膝枕をしてくれた少女は、喪服のような真っ黒なドレスに黒いベールをした成人女性だった。胸はファミラ以上と思われる。(おそらくD? いや、なんつうことを作者に言わされてるんだが)
「身体は大丈夫?」
「めちゃくちゃ苦しいけど、何とか……。」
「良かった……。あの後大変だったから、ずっと心配してたのよ?」
「あんたは俺のオカンかよ……。」
余談だが、オカンはビセア語で母の役割を表す言葉であり、オカンに性別は問わない。
「そうかもね?」
「えぇ……。」
ルオ=ノレスの母は美魔女で見た目と年齢が一致しないが、こんな死人のような人ではない。もっと活発な人である。
「……!? ちょっと待ってください!」
「なあに? お母さん待つよ?」
「不審者として通報していいですか? じゃなくて! あの時! 俺が<マギアバースト>を起こした後の事! あれからどのくらい経ったんですか!? そもそもここは? メリーは?」
「段々と意識がはっきりしたみたいね、ママ嬉しいわ♪」
「本気で通報していいですか?」
「いいけど?」
「もしもしポリスメン?」
「はい、けーさつです♪」
「クソッ!」
ルオはジェスチャーでつくった携帯を投げ捨てる。
いや、本当に何をやってるんだよ。
「……、あなたが、ダンジョンボスですか?」
さっきのやり取りでルオは結論に至る。(いや、もうちょっと別の方法で至ってよ……。)
「大正解♪ 母は嬉しいわ♪」
「いい加減に自称母は飽きたんですけど……。」
「そうね、では名乗らせてもらうわ。」
自称母の少女はスッと立ち上がり、
「我が名はヘル。<道化派>の不肖の娘にして反逆者、死者の国の女王であり隠匿の女神。此度は迷宮群<ニヴルヘイム>そして終点迷宮<ヘルヘイム>の長として顕現した。以後お見知りおきを。」
優雅なカーテシーを披露し、迷宮の長は名乗った。
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