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あなたにおくる魔法の教科書  作者: 珍獣モフ犬
第二部 迷宮編

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(48) マギアバースト

『正解ルートへのズレは無し……。魔力狂度は……、oh……。60%じゃ……。魔獣が一匹お誕生おめでとうございますしてもおかしくないのう。』

 連絡鳩からラジエルの驚いた声が聞こえる。


「狂度60%……。単体ダンジョンの<タルタロス>をあっさり超えてしまってるな……。」

 ルオは胸元を抑えながら歩いている。


「ルオさん……?」

「……あっ、大丈夫だよ。臨界点越えの環境は受肉以来だから……。ちょっと苦しいだけ。」

「そうはいってもです、ルオさん苦しそうですよ……。」

 メリーは心配そうにルオを見つめる。


(実際、<タルタロス>以上の魔力濃度で魔狂石のキャパシティーが満タンになりかけてるからな。)


 魔獣のコアとなる魔狂石は魔石のように魔力を貯める性質をしているが、魔狂石の場合は容量越えになると<マギアバースト>と呼ばれる最悪規模の大爆発が起こる。純粋は魔力による<マナバースト>は、扱いやすさから現代のエネルギー技術に応用されているが、理を狂わせる力を持つ魔狂石は爆発によって周囲の物理法則が歪んでしまう。

 良くて生命体の爆散、悪くて魔獣化・妖魔化である。


『メリーは大丈夫かい? 魔に特化した悪魔とは言えど、臨界点越えは私でもきついぞ?』

「メリーはあんまり感じませんでしたです! ルオさんの近くにいると大気の魔力(マナ)がおいしく感じられるです!」

『そりゃルオ君の隣にいるからのぅ。代わりにルオ君は危険な状態になりかけておるが……。』

「あ…………。」


 謎多き魔狂石には魔力を天文学的数字な量を吸収し、容量越えで一気に放出することを第一優先としている最凶最悪の禁忌兵器だ。魔獣が世界的とされているはこれによる脅威からでもある。もっとも、それ以上に恐ろしい悪影響は比べられないほどの厄介さと残酷さである。


「るっ、ルオさん……!?」

 ルオの呼吸は段々と上がっていく……。ルオの身体から魔獣特有の呪詛があふれ出る。周囲にいるアンデット型エネミーは呪詛に触れ死霊王(ロード)クラスの上位種へと変貌していく……。


『まずい……! 今までの迷宮は狂度30%以下じゃったからルオ君の身体のことはあまり気にかけておらんかったが、竜宮城で何度も不死なる海魔を喰らっておる……!! あれでコアの魔法にヒビがはいったのか!!!核魔狂石(コア)がアイデンティティを取り戻すために<マギアバースト>を起こすぞ!!』

 ラジエルは急いで連絡鳩に搭載された結界魔術をメリーに展開する。


「はぁ……。はぁ……。苦しい、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」

「ルオさん!?」

 メリーは急いで駆け寄ろうとしたが、結界に憚られる。


「ルオ、どこにいるの?俺だよ?キマイラだよ? 返事、ない……。 俺が殺したの? 違う!! 俺じゃない!! 俺は何!?」

 破綻した言葉を口からこぼれていく。


『<クローギヌ>の件以上の衝撃波が来るぞ!!! なんとかしろ!!世界最強(ウィンデ)!!』

『流石にダンジョンでは無敵じゃないし、転移不可能だ!!』


 ドロッ

 ルオの体のあちこちから墨汁よりも真っ黒で禍々しい液体が漏れ出る。液体は身体をつたって迷宮の大地へと吸収されていく……。


 ドォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!!!!


 

 

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