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あなたにおくる魔法の教科書  作者: 珍獣モフ犬
第二部 迷宮編

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(47) 死霊に慈悲はいらない

 司令塔と思しきエネミーは魔術師の姿をしていた。おそらく死霊術に失敗して理性無き怪物(アンデット)へとなり果てたのだろう。死霊術は術のほとんどが絶対禁忌に指定されており、禁忌となってない術は片手で数えるほどだろう。

 

「うぅ……。怖いけど、行くよ!メリー!」

「はいです!」

 ルオは頬をパンッと叩いて、お化けであることを忘れ、目の前にあるのはただの倒される存在(エネミー)と自己暗示をかけた。


 2人は下級死霊(ゾンビ)の大群に向かって一直線に走る。ゾンビはゆっくりと腐敗した目でとらえるが、遅い。


「汝は星の災害、汝は反逆者!大地に墜ちて万物を焼き尽くせ!<天津甕星(アマツミカボシ)>!」

「<すーぱーびーむ(インフェルノ)>!!」


 ドォオオオオオオン!!!


 光る尾を率いる星々と光無き黒い炎が、死に呪われた者たちをただ等しく無慈悲に焼き尽くす。大地はいくつもの大穴(クレーター)が空き、黒い炎が消えずにパチパチと燃え続けている。


 2人は焼け消えていくアンデットに構うことなく真っ直ぐに、落ちぶれた魔術師のもとへ向かう。


 kurunaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!


「わおっ!? 骨だけです!?」

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」(ルオの悲鳴)

 どういう死霊術を自身にかけたのか、司令塔の身体はボロボロの骨だけだった。目の奥は真っ黒な空洞、杖を握る手も当然骨、カチカチと歯がなっているが一体どこから声を上げているのだろうか。しかし、それを知る必要もない。


「先手必勝です!」

「そだね!!」


 今度はさっきの協力技以上の魔力を込める。


「「せ~の!! <レクイエム>!!」」


 レクイエム、それは神話魔術でもない、死に損ないにおくる祝福(呪い)である。

 先ほどラジエルに教えてもらった、<オロチ>に並ぶ不死殺しの術。魔術というにはあまりにも醜いものだった。


 liveeeeeeeeeeeeeeee!?


「さようなら、もう2度と不死にはならないでください……。」

 墜ちた死霊術師はいびつな断末魔と共に灰となって消えていった……。


「…………、つかれたですぅ~。」

 メリーはぺたんと焼け野原の地面に座る。荒い息をゆっくりと整えている。

「…………、そだね。」

 ルオもメリーの隣に腰をゆっくりと下ろす。


「思ってたよりも早く倒せましたです。」

「今までもそうだったけど、メリーは本当に火力特化なんだな。」

 第二迷宮から終点迷宮の戦闘が簡単に早く終わっていたのは、メリーのおかげである。防御力はルオが上だが、攻撃の火力は劣っており、先のエネミーをたった1人で倒すのなら丸1日以上はかかっていた。


「当たり前なのです! メリーはさいきょうの魔法(黒炎)の悪魔なのですから。」

 深呼吸をするメリーは、どやぁと笑った。


『それ以外のマナ技術は悪魔以下だけどね!!』

「すみません、調子に乗りましたです……。」

 師のウィンデが釘を刺し、メリーはシュンとうなだれる。


 

 


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