(43) アンデット
人類が一瞬で凍死する環境なのは一階層だけであり、二階層からは薄気味悪い寒気がする寂しい廃墟であった。
——終点迷宮<ヘルヘイム> 第二層——
『テステス……。こちら超天才超かわいいラジエルじゃ!』
『天才と可愛いはいらんでしょが。』
『超と超のラジエルじゃ!』
『言い方間違えた、超もいらん。』
「え~と、2人とも?」
『ああ、すまないね。ラジエルがふざけてるのに気を取られてしまったよ。』
『我のせいだといいたいのかの?』
『その通りだけど?』
『こんっのくそ悪魔ぁああああああ!』
『は~い、全然痛くないですから、ご愁傷様♪』
『ぐぬぬぬぬぅ!』
『<傲慢の君>とラジエル様は無視しておいて。』
『『おいこら。』』
『出現するエネミーは<ヘルヘイム>の逸話と迷宮内の環境を考えて、アンデット型だと思われます。』
通信越しに馬鹿2人の何の面白みのない喧嘩を無視し、セバスチャンはサポートをする。
「あんでっと?
メリーが首をかしげる。
「本でしか読んでないけど、たしか一度死んだ生物が不完全なよみがえり方をした魔物やエネミーの総称だよね?」
『はい、その認識で合っております。一番有名なのはゾンビですね。死霊術師によって死体に残った記憶だけで蘇る人形。生前のスペックを継承していますが、ネクロマンサーによって隷属されているため、1人では活動することができない、マリオネットのようなものです。』
廃墟のあちこちにはゾンビたちが徘徊している。
「ということは、この迷宮にネクロマンサーがいるということですの!」
メリーの言う通り、人間の術師が迷宮の味方をしているということになるが……。
『それは無いぞ。ネクロマンサーは人間の術師もいるが、アンデットの術師だっているのじゃ。基本は死霊王と呼ばれる司令塔がゾンビたちを操っておる。生きた人間が死霊術を使うと、寿命が縮んだり最悪そのまましアンデットになるからの。生身からアンデットになったネクロマンサーも少なくない。』
「じゃあ、この迷宮は世界中の死体を集めているということ!?」
迷宮は未だ謎が9割の存在。1割判明しているうちの1つは世界の法則からずれているということ。
『逸話の<ヘルヘイム>は東洋系神話の根の国や、地獄のようなものじゃからの。ウィンデが<ヘルヘイム>と名付けた時点で、この迷宮そのものが<ヘルヘイム>であることは確定していた。』
「マジか……。」
あの時ウィンデはぱっと思い付いたような名づけ方をしていたが、そんなことまで予測していたのか。
『別に予測はしてないさ! 私は世界一勘が良い悪魔だからね!』
『当たり前のようにナルシするんじゃない!』
『だからノーダメだって♪』
「仲いいね、あの二人。」
「そですね。」
2人は馬鹿2人のやり取りを<ヘルヘイム>よりも冷たい目で見る。(見ているのは連絡鳩だが。)
『御二方! 前方からゾンビ等のアンデットの大群が向かってきています。急いで迎撃準備を!』
『了解!!』『了解です!』




