(37) 託される
ダンジョンボスである海魔(亀型エネミー)がルオに吸収され、一応?撃破判定になったため次のダンジョンの転送ポイントが地面に浮かび上がる。
「本当に、大丈夫なんですか? 汗がびっしょりなのです……。」
メリーは、ツインテをまるで愛玩動物の耳のようにシュンとしおれさせ、ルオを心配する。
「大丈夫だって! 500年前の事やタルタロスでのことと比べたら始めが苦しいだけで後は色々と肉体改造すればどうってことないから。」
「一歩間違えれば闇魔術師ですの!! 絶対これ以上同じ事したら<閻魔>で時刻に落としますですの!」
ルオの悪癖にメリーはちゃんと怒る。(良い子はルオみたいな事↑は絶対にマネしないように!!)
ガッッシャアアアアン!!
「何だ!?」「きゃあ!!」
2人の後ろで何か大きなものが倒れた音がし、地面にも轟くほどである。
「!? ……、竜宮城が……」
「崩れていくです……。」
廃墟となり果てた朱色の城は、ダンジョンクリアと共に崩壊し始めている。
「ダンジョンが崩壊するところは初めて見たな……。」
サンゴで出来た柱が真ん中からひびが入り、支えるというアイデンティティを失いながら地面に崩れていく。
「ダンジョンでは攻略後は崩壊する様子を見られないのです?」
崩れていく建物に住んでいた小魚たちは必死に逃げ回る。
「うん、通常は攻略後に転送ゲートが出現して、そこから挑戦者たちを追い出しているってことを……。」
「ことを……。」
命の危険に直結する内容ではないが、メリーはルオの話を前のミリで聴いており、ルオの顔に近づこうと、ピョンピョンと小さな両足ではねている。
ゴゥオオオオン!!
「しまった!! ゆっくりしてた隙にもうここまで崩壊している!?今までのダンジョンにはこんな現象が無いはず……。」
突然現れた黒い点に海水もろともダンジョンが吸い込まれていく。
元々大陸に存在するはずのない竜宮城がこの迷宮に出現した時点で例外を受け入れていたが、ここまで未知の現象が起きるとは想定していなかった。
「ルオさん!! あの先にゲートが!」
しかしここは海そしてダンジョンは2人の後ろにある巨大な引力によって吸い込まれている。どう頑張っても吸い込まれる絶望しかない。
「くそ! こんなところで<冬眠>してたまるか!」
ルオは水泳用の魔術で何と謎の引力に逆らおうとするが、焼け石の水であった。
ドクンっ
「な!?」
ルオの胸元から、ついさっき魔術によって吸収した亀型の海魔が飛びだしてきたのだ!(決してリバースではない)
『……。』
亀型の海魔は2人の首元の裾を掴み、自信の甲羅へと乗せた。
「きゃあ!?」「ちょぉお!?」
2人を乗せたウミガメは、謎の引力に赤子の手をひねるように逆らい、ゲートへと真っ直ぐに向かっていった。
『……、……。』
ウミガメはルオに黒く金箔が付いたきれいな箱を渡した。
「これって……。」
それはルオたちが求めていたものだった。
『…………!』
ウミガメは役目を終え、崩壊していく竜宮城へと戻っていった。




