(34) お久しぶり
「……ようやく、19層に到達ですの。」
メリーは重い瞼をこする。
「流石に寝たい……。」
ルオの眼もとは隈ができていた。
「一回フロアポイントで寝ようか。向こうじゃどれほどっ経ったのか……。」
——第四迷宮<■■■> 19層フロアポイント——
『接続完了、現世との接続を開始します』
連絡鳩の眼が青色に点滅する
『……!? お久しぶりじゃぁああああ! ルオく~ん! メルセリス~!』
『君たちにとっては3日ぶりだろうけどね。……というか、ちゃんと寝てる?』
ラジエルとウィンデの声が聞こえてくるが、眠気で内容があまり入ってこない。
「ずっと羅針盤が指す方向に進んでいましたから……、そういえば3日かかったんですか……。」
「ふあぁああ、ルオさんコレ食べていいですか?」
メリーは連絡鳩を何か食べ物と勘違いしていた。
『今すぐ寝るのじゃ!』『今すぐ寝なさい!』
——翌日——
『あのね、いくら君たち二人が魔法生物だとしても3日も不眠不休は流石にヤバいから! 魔法生物だから死ぬことは無いけど、海魔だらけの海の中で意識を失ったら喰われるからね!』
「すみません、皆さんに迷惑をかけないように早く攻略しなきゃと思って……。」
『羅針盤を託した私も悪いけど、攻略で何よりも大事なのは健康! こっちでは3ヶ月経って君たちの事半ば忘れかけてたけど、いつも無事かどうか心配で眠れないときもあったんだから。フロアポイントでこまめに連絡してほしかったんですけど!』
いつも余裕のウィンデが珍しくも、本気で心配している。
「……3か月、経っていたんですの……。」
メリーの好きな漫画も新刊が数巻分出ているだろう。
「そういえば、ファミラへの手紙、第二迷宮以降書いてないな。」
ルオが返信した後、それからファミラからの手紙は来ることが無かった。忙しいのだろう。
『教会の方は変わらず世のため人のため働いているみたいじゃ。ファミラの方についてはあまり聞いてないのじゃ、雑用を押し付けられておるのかもしれぬな。』
『手紙は一応来ているみたいだよ、セバス! 2人と3ヶ月ぶりに通信できたよ! 後、ルオ君宛の手紙持ってきて!』
ウィンデはセバスを呼ぶ。
『大変お久しぶりです。魔導具による検査の結果、お二人は少々疲れが溜まっているようですので、こちらを……。』
セバスは2人に一瞬で一日分の睡眠を得ることができる、秘薬を転送した。
「ありがとうございます。」
『いえ、私の確認不足でしたので……。手紙の方は秘薬を使用なさった後にお送りいたします。期限は1年でまだ時間はございますので、焦らずに探索をお願いいたします。』
「……。」
「ルオさん? ……セバスさん、ありがとうございますです!」
メリーは一瞬沈黙したルオに疑問を抱いたが、特に気にしなかった。
「……この第四迷宮について分かったことがあるんだ。」
「何かあるのですの!」
「分かったのこの迷宮の正式名称だけどね、場所的にあり得ないから気のせいかと思ったけど、迷宮だからあり得るんだろうと思ってね。」
『流石はルオ君、では聞かせてくれぬか? この迷宮の名を……。』
「うん、この第四迷宮は大陸外の東洋海賊領域にある御伽噺の名を冠する迷宮、<竜宮城>だね。」




