(25) 判明してしまった事実
「……はぁあ~、何とかなったぁ~。」
第二迷宮第四層入り口。ルオは小脇に抱えていたメリーを下ろし、全力ダッシュで荒れた息を整えながらゆっくりと座る。
「いっ、いきなりなんですの。メリーのスカートの下の乙女の聖域が魔物たちに見えてしまったじゃないですか!」
「トラップで死ぬよりかはマシでしょ……。はぁ、はぁ。」
「……、もとはといえばメリーが、アルティメットスーパードジであることが原因でしたよね、ルオさん本当にご迷惑をおかけしました。」
メリーは自分の持っていた水筒をルオに差し出した。
「君には好きな子がいるんじゃないの?」
「まだ口をつけてないので大丈夫です。ルオさんのは第二層で空になっていましたよね?」
……よく見ている。
「それじゃありがたく貰うよ。君は大丈夫なの?」
「私は大丈夫です。あなた同様私も<魔法生物>。我らに死の概念はない、ただ喉の渇きで苦しみ続けるだけ。ルオさんは<魔法生物>というよりもその中間ですから優先度は上だと思うのです。」
「……中間?」
ルオは水筒をメリーに返そうとするが、「本部に帰ったときに洗って返してくださいと。」断られた。たしかに他人が飲んだ水筒を持っておくのはちょっとである。
「四層のフロアポイントで新しいのを御礼として買うよ。」
「いいんですか! ありがとうです!」
——第二迷宮、第5層 ボス部屋前——
四層のフロアポイントでメリー用の新しい可愛い水筒を買い、二人はボス部屋の前にいた。
『現在、連絡鳩の異常なし。いつでも始めてOKじゃ!』
「ありがとう、ラジエル。パフェ欲しかったけど、本部に戻ったらおごってもらうね♪」
『うっ、それは、そのセバスチャンに頼むべきじゃ!』
ラジエルはタジタジになってセバスチャンに助けを求めようとするが、彼は生憎用事でモニター室にはいない。
「……ま、ラジエルも頑張ってるから後でいいか。それより、メリーも準備はいい?」
「準備万端です! 行方不明者のためにも早く突破しましょう!」
メリーの拳にはこの世にあらざる真っ黒な炎をが宿っていた。
「それが君の魔法?」
「そうです! <黒炎>。万物を等しく燃やすことができるのです、そして炎も喰らうことも!」
「よろしく頼むね。それじゃ、行こうか。」
「はいです!」
二人はボス部屋の扉を開けた。
Roaaaaaaa!
第二迷宮のダンジョンボスはライオン型の魔獣であった。取り巻きは雌のライオン型魔獣がたくさんおり、ルオとメリーを獲物として見ている。
『二人とも、今じゃ!』
連絡鳩から閃光弾がボスに向かって放たれ、エネミーたちは目を閉じる。
「悪魔にひれ伏しなさい!<さいきょうパンチ>!」
「魔の法をもってして神の名を呼ぶ! 天から舞い降りて大地を焼き尽くせ! <アマツミカボシ>!>」
メリーの黒炎をまとった拳がボスに直撃し、残りの取り巻きはルオの<最強魔術>によって天から降り注ぐ隕石によって焼き尽くされていく。
『……エネミー沈黙! 魔狂度上昇無し! 完全勝利じゃ! お疲れ様、二人とも!』
「ラジエルさんも、閃光弾サンクスです。おかげで妨害無しでまっすぐに倒せました。」
『どういたしましてなのじゃ♪ お主の魔法攻撃も良かったぞ! うへへへ、ルオ君以外に褒めてもらうのも良い気分じゃの~。あっ、それよりもルオ君、実に見事な<神話魔術>じゃ! ラグも誤差もなく正確に発動しておったぞ!』
「ありがとう、流石は最強魔術と呼ばれるものだから、けっこう疲れるけどね。」
『第二迷宮攻略お疲れさまでした。第三迷宮は次ですが、魔力を大幅に消費しているようなので今日はこの先にあるフロアポイントでお休みください。』
「でも、行方不明者が……。」
「そうですの、早く救助しないと手遅れになるのです。」
『いえ、一日違っても既に変わりませんから。』
「「!?」」
二人はその言葉の意味に気が付く。
『先ほど緊急連絡魔術で行方不明者の安否を確認しましたが、1週間ほど前にその者の魂は<アマリリスの庭>に連れていかれたそうです。ですので、お二人には抜け殻となった身体を見つけていただきたいのです。非生物なら連絡鳩を経由して転送できるので……。」
セバスチャンの言葉に一同は何も言うことができなかった。




