(23) ジャック子爵の依頼
こちらに向かってきた魔物たちはメリーが先頭をつぶし、残りはルオによる<火神鳴り>で全て難なく撃破された。
依頼内容は、第三迷宮で行方不明となった迷宮探索者の捜索と保護だった。子爵が<安全対策部>に訪れたことが関係しているようで、どうやら対策部から行方不明者をこれ以上だすなと警告されたらしい。
「ちなみに第三迷宮の地形などの詳細はありますか?」
『無い。』
「ない!? どうして?」
『行方不明者のサポートをしていた俺の部下によると、第三迷宮では遠隔サポートが禁止されているらしく、連絡鳩から直接精神干渉を受けていた。』
「そのサポーターは現在生きていますか?」
『精神に異常が見られ会話ができないが、生物学上では生きている。』
未だ謎多き迷宮は、迷宮自身が独自のルールを攻略者に強いることができる。トラップやエネミーの出現が十八番の例だ。しかし、遠隔サポートの禁止は今まで無かった。
「第三迷宮以降もですか?」
『いや、第三だけサポーター禁止だ。よほど第三迷宮のことを見せたくないのだろう。ちなみに最高到達者は第三迷宮だ。それ以降は未知領域になる。』
「なるほど。」
どうやら中盤に唯一到達できたのが彼のようだ。
『他の探索者は第二のボス攻略の一歩手前でリタイアし、緊急脱出をした。』
「第二層のボス情報は?」
『強さはそこまで強くなかったようだが、魔力狂度を指数関数的に上昇させる異能を持つボスだったようでな。サポーターが危険と即判断して強制退却させた。』
「第三で行方不明となった探索者はどうやってクリアしたんですの? ヒトなんですよね?」
メリーが子爵に問う。確かに現在、高狂度下でヒトが耐えられるための魔導具はまだ発明されていないせいぜい30%までだ。だが、先ほどボスがそこまで強くなく指数関数的に増えているのなら、倒し方は分かる。
『ノレスが説明したらいいのではないか? 実際に倒す予定があるのだから。』
「そうですね。例の行方不明者はおそらく最高火力の<最強魔術>で撃破したんだと思います。その人がどれほどの実力があったかは明確には分かりませんが、一撃必殺の強さを誇る最強魔術なら、ボスエネミー出現後即撃破可能かと。」
「最強魔術ってあの?」
メリーは今度はルオに問う。
「うん。あるいは最強魔術レベルの火力で攻撃すれば撃破でいるはず。でも、攻撃の早さをより早くすることがベストだから、最速の最強魔術じゃないかな?」
『ノレスの推測の通りだ。まだ会話できていた時のサポーター曰く、最強魔術一撃でエネミーが撃破。しかし、魔力が底をつきかけていたようで、第三迷宮に入って一日休憩しようとしたようだ。第三に転移した瞬間……。』
「サポータ禁止で以降連絡できず、行方不明へと……。」
『例の行方不明者は二等星魔術師でな。最強魔術を初めて使用したらしい。そりゃ魔力不足になる。ノレスと、確かメルセリスだったな。お前たち二人は魔力量が一等星魔術師以上だろうから、心配はないだろうが気を付けろ。』
「ありがとうございます。まさか子爵が普通に会話できるとは思いませんでした。」
ルオの子爵の脳内イメージかヒステリック子爵という言葉が消えそうだ。
『お前たちがいっつも僕をぞんざいに扱うからだろっ!! 僕はいつも普通に会話できるっ!!!』
「「うるさ。」」
ヒステリック子爵のイメージは消えることなく、二人は耳をまた塞いだ。




