(22) ルオからの誘い
「改めてよろしく、メリー。」
「はいです。」
「提案があるんだけど、俺のパーティに入らない? いくら魔法生物とはいえども、この迷宮は危険度Sの迷宮群。サポートもない、本当のソロ攻略では途中で消滅してしまうかもしれないだろ?」
「確かに、このダンジョンに来てからずっと逃げてばっかりでくたくたですの! なんの成果無しでは弟子失格ですの。」
メリーの靴は土で汚れていた。
『無許可探索で既に弟子失格だとは思わないのかい?』
ウィンデは優しく穏やかに言うが、目が笑ってないような気がする(顔は見えていない)。
「うぇっ、あっ、そうです! メリーは既に弟子失格になってること間違いないのですが、せっかく初めてのダンジョンなのですから、そのお誘い乗ってあげても構わないのです!」
『乗ってあげてもいいじゃなくて、不束者の馬鹿弟子ですがどうかよろしくお願いいたします。だろ? 破門になりたいのかなぁ?』
「申し訳ございません!ルオさん、言い間違えました! よろしくお願いいたします!」
ウィンデがガチで怒っている。
「え~っと、これからよろしくね。ちなみに基本の戦闘スタイルを教えてくれないかな?」
「メリーは自分の魔法を身体に付与させて、格闘術で魔法攻撃を行うスタイルなのです。」
「つまり、前衛で肉弾戦と。教えてくれてありがとう。俺は<大蛇流>をメインで使う。ポジションはオールラウンダー、メリーが前衛だから俺は後衛にしておくね。」
「<大蛇流>でオールラウンダーポジションですか、かなり珍しいですね。海賊領域出身なのですか?」
「ううん、人間の母親の出身。<大蛇流>であることはあんまり言わないでね?」
「分かっているのです。それでは行きましょうです! 3層以降はトラップが強くて多くなります。空中浮遊が効かないエリアもあるので気を付けてくださいです。」
「ありがとう。」
『それじゃあルオ君、忘れずに馬鹿弟子のパーティ登録をしたまえ。』
「分かりました。メリー、会員証は持ってるよね?」
「こちらですの!」
会員登録日は3ヶ月前のようだ。
「じゃ、登録するね。:
ルオはメリーのカードに自分のカードを上にしてチョンと当てた。すると二人の迷宮内通貨が消え、会員証に入っていった。そしてそれぞれの会員証には名前が新しく記されていた。(ルオならメリー、メリーならルオの名)
「わぁ~!」
メリーは初めてのことに目を輝かせる。
「これでパーティ登録完了っと。」
二人は会員証をしまう。
『水を差すようですまないが、ヒステリック子爵殿が君たちにご依頼の用だ。』
『誰が! ヒステリック子爵だ! ジャック=ルージュ子爵だ! いい加減間違えるな!』
連絡鳩からノイズが混じったうるさい声が聞こえる。あまりにものうるささで、ルオとメリーを耳を塞ぐ。
「俺たちに何の用ですか?」
『僕の知らない間に一人増えてる!? どうして最初に僕に言わなかったんだ! 僕をなんだと思ってるんだ!』
存在空気以下ヒステリック子爵。と、口パクでボソッと言ったがバレなかった。
「そんなことは後で愚痴ききますから、早く要件を仰ってください。そろそろ壁にぶつかった魔物たちがこちらに向かってくるはずですから。」
さっきまでピクピクと痙攣していた魔物たちは段々と立ち上がってきている。
『ヒステリック野郎のことは置いておいて、ひとまず撃破じゃ!』
「了解」「了解なのです!」
優先順位は子爵よりも魔物たちが上であった。かわいそうに。




