(21) ウィンデの弟子
『うちの愛すべき馬鹿弟子が迷惑をかけてしまって、本当に申し訳ない。』
「いえ、俺はあまり困ったことにはならなかったので、全然平気です。」
ルオは初めてウィンデのきっちりとした謝罪を聞いた。
どうやらウィンデの弟子兼眷属の少女は、迷宮<ニヴルヘイム>に無許可で探索していたらしい。ちなみに許可無しでダンジョンに入ることは禁止行為である。もう師であるウィンデにバレてしまっているため、連合本部に戻れば処罰が下る。(ルオの禁書の件よりはマシなのだが。)
「そろそろ君の名前を教えてほしいのだけど?」
ルオは悪魔の少女に尋ねる。
「先にあなたが名乗るのではなくてですの。」
「あ~、分かったよ。……俺は魔術連合所属の一等星魔術師、ルオ=ノレスだ。所属部門は無し。そして「解呪」を主な今の研究内容としているよ。」
『我はラジエル、魔法生物の一種<知の天使>を担っておる。目覚めたのは何千年ぶりじゃから、最新技術は明るくないがそれ以外の魔術は全知じゃ。よろしく頼む。』
ラジエルもルオに続いて名乗る。
「天使もいるとは、今日のメリーは<魔法生物>とよく会うのですの。……それにしても、あなたは自分の本当の種族は口に出さないのですね。」
少女はルオの眼を見つめる。鋭いようだ。
「うん……。俺がこのことを最初に口に出すのは、あいつにもう一度会った時って決めたんだ。」
とは言ってもこの前のクローギヌ遺跡でセラフィエル(レイグ)と対峙した時、自分でソレを言ってしまったが、アレはノーカンだ。
「大事な方なのですね。友好種なのですか?」
「そうだね、俺にとってはもう一人の親友だから。」
「まさかヒトと本気で仲良くなろうとする<魔法生物>がいるとは思いませんでしたが……。」
——君は人間と一緒に暮らすことができないって言ってるんだよ。——
(!? ……。なんで今あいつの言葉を思い出したんだ?)
ルオはクローギヌでセラフィエルが言った言葉をふと思い出した。
「ルオさん、私が名乗る出番なのですけど、聞こえてます?」
少女がルオの顔を覗き込む。
「あっ、ごめん。ちょっとぼ~っとしてた。それじゃあ名乗ってくれるかな?」
「分かりましたなのです! コホンっ! 私は偉大なる<傲慢の君>の眷属が一人、メルセリスなのです! メリーって呼んでくださいまし!」
少女、メルセリスは丁寧で優雅なカーテシーをした。




