(20) ウィンデの眷属
『まさか、お主があの大悪魔ルシファーの弟子だったとはな・・・。』
「うん、ウィンデさんが本当に悪魔でルシファーだったなんて・・・。」
ルオは少女の師匠の事よりも、その師匠であるウィンデの正体に驚いていた。
ウィンデヘェル=レングミル、彼が<傲慢の君>ルシファーであるとは思わなかった。ルシファーは謎が多く、情報が少ない悪魔たちの中でも、<憤怒の君>サタンと同じほど有名な悪魔である。
ウィンデが普段からナルシストでラジエルに悪魔呼ばわりされていたから、悪魔なのでは少し思っていたが、まさか大悪魔だとは予想外だった。
ラジエルは嘘を言ってなかったようである。後で謝っておこうとルオは思った。
『にしても、お主。ウィンデにダンジョン攻略の許可を貰ったのか?ここにいて当たり前なのは七鍵王から許可を貰ったルオ君くらいであろう?』
「・・・、えっとなのですね・・・、ちゃっ、ちゃんと許可はとったのですの! だからここにいても怒れませんの!」
少女はどう見ても冷や汗をかき、言葉もはっきりとした口調ではない、どう考えても無断で来たのだろう。
「許可なしの攻略は連合ではどう取り締まれるのか知ってますよね?」
『なっ、なんのことやらですの! そもそもウィンデ様はご多忙でモニター室に来るはずがないですの! 私が無許可攻略していることは、絶対に分からないですの!」
少女はあっさり本当のことを吐いた。
『なるほど・・・。まさか馬鹿弟子が<ニヴルヘイム>を先に探索してただなんて全くの予想外だよ。帰ってきたらきっちりとお仕置きをしないとね・・・。』
「なっ!?」
「ウィンデさん!?」
少女とルオは連絡鳩から聞こえてきた、聞きなじみのある声に驚いた。
『一日ぶりだねルオ君♪ どうやら昨日はよく眠れたようだね。そして馬鹿弟子を助けてくれてありがとう。不肖の弟子に代わって礼を言うよ。』
「それほどでも・・・。というか、よくラジエルが音声通話を許してくれましたたね?」
ウィンデを目の敵としていたラジエルがするだなんて、明日は雪が降りそうだ(今は春)。
『ぐぬぅ、何してくれておるのじゃ!この大悪魔が!』
『君が音声通話をさせようとしないからでしょ! おかげで私は見た目5歳児の害悪天使を椅子から尻で落とす羽目になったんだから。その結果私の社会的地位はただ下がりだよ!』
(良かった、ふたりともいつもみたいだ。)
ルオは二人が何もおかしくなったところは無く、ほっと胸をなで下ろした。
「まさか師匠様に友人がいるとは思いませんでしたの。せっかくの友人とのじゃれ合いに邪魔しないように、メリーはお邪魔するのですの。」
少女は音声通信の向こうでウィンデとラジエルがけんかしているのを機に、そ~と逃げ出そうとした。
『待ちなさい』『待つのじゃ。』
しかし大悪魔と大天使は女悪魔の逃亡を許さず、連絡鳩を使って少女を捕まえた。




