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日本人は働く必要が無くなりました。  作者: Katz
第1章 田舎暮らしに憧れて
31/32

1-28. 開始

前話のあらすじ:アイドル真澄は世界に羽ばたきます!

 真澄の決意を聞いた克樹は、千尋に聞いてみる。


「千尋さんはどう思いますか?」

「姉弟子が勝負に出るなら、ボクは応援するだけ。万一の場合はボクが矢面に立つよ」


 男前な台詞を言って、千尋はお茶を一口飲む。優雅な仕草は実に美しく、まるで天女を見るようだ。


 虎江からも許可が出る。


「2人がそう決めたのなら、私から言う事は無いわね。真澄ちゃんが道化に徹するならやりようはあると思うわよ。カッちゃん、2人を使ってあげてもらえるかしら?」


 虎江自身は出られない。ただ、アンチエイジング研究の方もそろそろ発表の時と考えていて、タイミングを計っている段階らしい。状況を逐一報告すれば、所縁の人間が注目を集める程度なら問題無いようだ。


 それからは真澄の出演に関して皆で話し合った。丸太小屋の計画の概要、三和土の施工時期の見通し、効果的な演出のアイデア、ブログ記事の構成。詳細はまた後日相談する事にして、この日は解散となった。


「はぁ… 疲れたなぁ…」

「えぇ… 疲れましたねぇ…」


 帰りの車の中で、達成と克樹は揃って目を閉じるのだった。


 ☆ ☆ ☆


 翌日。午前中は休んで、昼過ぎに克樹はあし家を訪れた。達成と二人で計画を練る。


 と言ってもほとんど秘書ロボットのもりに任せきりだ。やる事が具体的に決まれば、選択肢が発生する部分は洗い出してくれるので、そこだけ判断すればよい。


 昔と違って今の日本では、金銭的な制限は非常に緩い。更に今回は特殊な素材や高級素材などは使わない上に、克樹がこの為に貯めたお金がある。従って予算面の考慮は不要であり、そうすると選択肢が発生するような部分は少ない。今回ほとんど唯一の選択が…


「今回は屋外作業が中心となりますが、開始後すぐ梅雨にぶつかりますね。いかがしましょうか?」

「今年の梅雨はどうなのかな?」

「雨が多くなりそうな一方、梅雨の前後はきちっと晴れが続くようです。幸い、今年の予報は当たる確率が高いとの事ですし、計画は立て易いと言えますね」

「そうか、わかった。梅雨の時期は外そう。ちょうど作業の区切りが良くなるように出来る?」

「はい、大丈夫です」


 …これだけだった。後は守に任せると、一瞬で計画が出来上がってしまう。


 まずは正確な設計図を描く。

 これは克樹ともりが既に完成予想図を詰めていたので、そこから守が図を引き直す。

 設計図を基にして、原材料を書き出す。

 工程を洗い出し、細分化する。

 これらに加えて今回は、必要な道具や作業に当たるロボットについても洗い出す。

 三和土を転圧する工程では真澄と千尋の手を借りる事になるので、その点を考慮する。


 そしてインターネット上に公開されている事例や知識ベースを調査・分析し、分量・工数と金額を見積もる。

 工数見積からカレンダーの休日等を考慮して線表を引く。

 これについても完成予想図を作成した時の計画表があるので、そこに修正を加える程度だ。


 出来上がった計画表を克樹と達成が確認し、承認すれば完成である。念の為に一週間ほど寝かせて、過不足や気になる点などを考えてみる事にした。


 寝かせている間、先行して新しいロボットを手配する。蝶の舞う庭の世話や、タリ山を覆う予定の雑木林の世話などをさせる。その為に備えさせる能力は2つ。庭師として草木の世話や造園の能力と、一般的な里山を維持する為の林業の能力だ。このロボットは克樹の所有とするが、そのAIは秘書ロボットとは独立させる。克樹がいなくなった後も山の管理を続けられるようにとの配慮だ。


 その後は夢を語り合い、克樹は夕食を日足家で御馳走になった。


 ☆ ☆ ☆


 5月1日。新しく到着した庭師ロボットを連れて、克樹は日足家を訪れた。


「名前はさかきと付けていただきました。宜しくお願いします」

「おお、今後は君が中心となってタリ山を管理してもらう事になるな。宜しく頼む」


 そして虎江達3人も集まった。


「あら、渋いオジサマじゃないの♡ 私も宜しくね♡」

「「師匠…」」


 虎江の挨拶に、真澄と千尋は揃って呆れ顔だ。相変わらずの3人組である。


 今日はキックオフミーティング。関係者は揃った。

この3人組はちょっと顔を出すだけで、すぐ着工するはずだったんですが…

ここまで掛かってやっとキックオフ。

どうしてこうなった。

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