1-29. 手配
前話のまとめ:女装子・千尋は男前でした。
関係者全員が日足家に集まった。克樹、達成、雅美、虎江、真澄、千尋、それぞれの秘書ロボット、そして庭師ロボットの榊。
雅美お手製の桑の葉茶と菓子が出された。手軽に摘まめる芋けんぴ、胡麻が香ばしい大学芋、軽く炙った干し芋。この辺りでは干し芋はカンソ芋と呼ぶらしい。乾燥芋が訛ったようだ。
まずは克樹の挨拶。
「僕の夢である蝶の舞う庭の為、まずはタリ山に丸太小屋を作る事になりましたが、これだけの仲間に御参加いただける事になりました。ありがとうございます」
虎江達3人は、丸太小屋建築が蝶の舞う庭から始まっている事を聞くのは初めてだ。
「なるほど、野生の蝶を集める庭なのね。蝶も綺麗だし、お花も楽しめるし、良いわねえ♡」
それから詳細な計画書を全員で共有する。克樹の秘書ロボットである守からそれぞれのロボットに計画データが転送される。秘書ロボットは持参したタブレットに内容を表示して、それぞれの主に示す。
計画の全体像と、直近の丸太小屋計画について、克樹が説明する。
人間達はタブレットを見ながら説明を聞き、電子ペンで補足説明をメモする。
話が進み、区切りの付いた所で一息入れる。玉砂利でじっくり焼いた石焼き芋が出された。バターをたっぷり付けて齧り、桑の葉茶と共にいただく。
話を再開。一通り説明し、全員の意識を揃えて、それから役割分担を確認していく。
克樹と達成が中心となって全体の統括と個々の作業。
雅美はその補佐と、暴走防止の目付役。
榊は各種手配と作業管理と、個々の作業の手伝い。
真澄と千尋は三和土の転圧と、それを利用したプロモーション。
虎江はその監督。
雑談を交えながら、1時間ほどで打合せは終わった。その後は昼食まで克樹の蝶々談義が続いたのだった。
☆ ☆ ☆
昼食後に虎江達は帰った。これからプロモーションの構想を練るようだ。
克樹と達成が最初に手掛けたのは、貝殻を焼く為の燃料の作成だ。タリ山の杉林に枝打ちと間伐を行う。その為の作業要員として、林業ロボットを手配する。これは計画に基づいて榊が行う。
枝と間伐材は、小さく切ってから乾燥させて薪にする。今回は建築材料にする訳では無いので、かなり乱暴に乾燥させて割れたりしても構わない。それを踏まえ、達成が秘書ロボットを通して隣村の製材所に予約を入れる。ここには人工乾燥の設備があり、乾燥だけの依頼も受けているとの事。
そして達成は克樹と榊を伴って、湖畔にある貝の加工場の一つに行った。責任者に挨拶し、事情を話して貝殻を譲ってもらえないか相談する。二つ返事で快諾してくれた。量を確認し、運搬のスケジュールを詰める。このスケジュールに基づいて、日足家の庭に貝殻を運ぶ為の自動運転トラックも手配した。
夕方日足家に戻ると、雅美が夕食を作っていてくれた。御馳走になってから克樹は帰った。
克樹には帰宅後も作業が残っている。いよいよブログを立ち上げるのだ。タイトルは「蝶の舞う庭」、デザインについては前々から少しずつ考えておいてある。守と共に細部を詰め、丸太小屋建築の第一歩を踏み出した事を書き、そして貝の加工場の風景を載せた。写真は守の記憶の中から良さそうなものを3枚ほど選ぶ。守に頼んで英語へも翻訳する。
ブログのデザインがまとまり、初記事を掲載できたので、メンバーの皆に連絡した。
翌日、メンバーから届いた意見に基づいてブログを修正。完成したブログについて、一作と涼子と恵美、そして両親と兄にも連絡した。皆喜んでくれた。
涼子と恵美の返信は、近況報告だか新生活の愚痴だかわからないような内容だ。そして一作は相変わらずのようだった。
書き溜めた分が、遂に底を突いてしまいました。次回はだいぶ先になってしまいます。もしかすると数年後になるかも…
この小説の歴史設定をまとめ直しました。近未来百年史を並べ直した物になります。
https://ncode.syosetu.com/n9473fe/
ちなみに。
蝶の舞う庭は今森光彦「オーレリアンの庭」がモデルです。
丸太小屋とサウナの建設は守村大「新白河原人」が目標です。
貝殻石灰で三和土を作る方法は日本テレビ「ザ!鉄腕!DASH!!DASH島 無人島を開拓できるか!?」を参考にしています。
水に強い三和土は、主に「長七三和土」を念頭に置いています。




