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日本人は働く必要が無くなりました。  作者: Katz
第1章 田舎暮らしに憧れて
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1-25. 仲間

前話のまとめ:武術家3人の自己紹介を聞いて克樹は目が点になりました。

 3人の自己紹介でフリーズした克樹は、再起動を果たしてから悩んでいた。さて、どこからどう突っ込んだら良いものか…


「あの、え~と、まず、その、女性にこんな事を聞くのは失礼だと重々承知しておりますが…」

「遠慮しないで何でも聞いて♡」


 ハートマークが飛ぶような喋り方は古稀を迎えたお婆さんとしてどうなんだ?という台詞は飲み込んだ。


「あの、古稀という事は、御歳は70ですか?」

「来月71になりますよ♡」


 かつがれているとしか思えない。どう見ても30そこそこである。化粧してお洒落をすれば20代でも通りそうだ。


 詳しく聞いた所、新しいアンチエイジング法の研究に協力しているらしい。とある台湾の実業家が中心となり、不老の研究を進めていて、そのプロジェクトに参加しているとの事。週に1度は研究所に行って、色々な測定などをしているらしい。


 臍帯血から造血幹細胞を分離し、iPS細胞の技術を応用して万能細胞化。これを大量に培養して、今迄よりも高頻度で接種し、薬で調整。更に運動療法と食事療法を併用するらしい。高度な機密という訳では無いが、論文発表を控える程度には秘密にしている模様。


「本当に歳を取らないんですね…」


 驚いたなどという次元では無い。


「えへへ~、若いでしょ♡」


 その喋り方にはイラッと来るものがあるが。


「師匠、やっぱりその喋り方はやめましょうよ~。イラッとしますよ~」


 手厳しい突っ込みの可愛らしい舌足らずなアニメ声は真澄だ。巨乳で安産型で、ついでに腰までしっかりしていて、脚も腕も首も太い。武術家として相当な強さを予想させる見上げるばかりの山のような大きな体を、厳しい修行で汚れたのだろうシミだらけの道着で包んでいる。


「え~と、眉村さんでしたっけ… その、こんな事を聞くのは失礼だと重々承知しておりますが… 女性、で間違いありませんよね?」

「え~!こんなに女らしいアタシを捕まえてそんな事聞くんですか~?!」


 腕を前で組んで大きな胸を強調するポーズを取りつつ、女の子っぽい三つ編みお下げの厳つい荒くれ者のような顔から、可愛らしい舌足らずなアニメ声を出して怒ったような言い方をする。ニヤニヤしていて明らかにわかって言っている。


「あの、その、眉村さん…」

「真澄って呼んでください~」

「真澄…さんも、何かの研究に参加されてるんですか?」

「アタシは正真正銘ピッチピチの20代ですよ~。師匠みたいな新造人間と一緒にしないでください~」

「いやそっちじゃなくて」


 思わず突っ込んでしまった。男を基準にしても大きくて筋肉質な骨太の身体は、強さを求めて改造人間にでもなったからなのかと克樹は聞きたかったのだ。余りに失礼な質問なのでオブラートに包んで聞いてみたら、ボケたのか天然なのか判断に困る返事が返ってきた。

 ニヤニヤしている所を見ると、真澄はわかっていてボケたのだろう。


 それにしても新造人間とは、また随分とオタッキーな用語が飛び出したものだ。克樹も一作から教わっていたので辛うじて理解できたが、そうでなければわからなかった。


「姉弟子の体格は体質らしいですよ。あ、ボクの事は千尋と呼んでください」


 澄んだ低音の渋いバスボイスで教えてくれたのは千尋だ。


「そうなのよ~、アタシのパパは筋肉が付き易い体質なんですけど~。やっぱり女は駄目ね~、思ったように筋肉が増えなくて~」


 絶句。これ以上まだ筋肉を付けたいのか。真澄のニヤニヤ笑いが消えている。本気で足りないと思っているようだ。


「まあまあ。闘う為の筋肉は見せる筋肉とは違うって、師匠もいつも言ってるじゃないですか。姉弟子はそれでいいんですよ」


 千尋が慰めている。ハリウッド映画の二枚目俳優のようなイケメンの優男だが、着ている道着はやはり年季が入っている。顔に似合わず、汗を流して気合の入った修業をしていると見える。


 ふと克樹は聞いてみた。


「真澄さんと千尋さんが闘ったら、どっちが強いんですか?」

「そうねぇ、突きの真澄と投げの千尋のぶつかり合いは見ごたえあるわよ♡」

「アタシの正拳突きはいっつもいなされて投げられちゃうのよね~」

「何言ってるんですか、姉弟子が本気になったらボクなんか簡単に吹っ飛ばされるじゃないですか」


 3人で盛り上がり始めた。三十にしか見えない老女と、強化人間にしか見えない女性?と、渋い低音のイケメン。

 何だろう、千尋と愉快な仲間達?



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