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日本人は働く必要が無くなりました。  作者: Katz
第1章 田舎暮らしに憧れて
25/32

1-22. 計画

前話のまとめ:家について考えたら、夢が膨らみ過ぎました。

 露天風呂やサウナについて夢を膨らませ過ぎた克樹は、もっと現実的な計画に縮小する事にした。悩みながら少しずつ削っていくが、どうしても迷う部分がある。そういう箇所は守の視覚記憶から仮想現実を構成し、現場の様子を確認しながら考える。翌日まで掛かって、ようやく纏まった。


 サウナ小屋は4畳程度の広さとし、露天風呂を隣接しておく。

 露天風呂の湯舟は、体を伸ばして入れる位の大きさを2つ用意し、必要に応じて湯と水を張れるようにする。

 丸太小屋をすぐ近くにして、脱衣所を兼ねる。

 渡り廊下の途中にトイレを設置し、風呂からも丸太小屋からも使う。

 その渡り廊下を伸ばして母屋に繋ぐ。


 サウナも風呂も、熱源はマグネシウムボイラーとする。

 母屋の一角を少し広めにとって物置部屋とし、燃料用マグネシウムやマグネシウム電池の備蓄場所を兼ねる。

 この部屋には扉を付けて母屋の裏口とし、ボイラー設置場所から直ぐに出入り出来るようにする。


 庭を考えるともう少し敷地を広げたい。山を少し削る事にする。


 そして道を通す。母屋の車庫から山の斜面に沿って広場を抜け、今の山道につないで、その先は車1台分くらいの道幅に拡張して麓まで通す。


 建物を表す長方形を地図に配置し、道を示す線を記入し、細かい指示を記入。


 完成した地図を元にして詳細を詰める。母屋は後日ゆっくり考えるとして、先ずは丸太小屋とトイレと露天風呂、それらを繋ぐ渡り廊下。仮想現実に没入し、守のアシスタントで完成予想図を作成する。そしてサウナ小屋も検討。


「折角だからサウナも丸太小屋にしたいよなぁ」


 そうなると露天風呂の方も一捻りしたくなる。


 こうして出来上がった完成予想図に基づいて一般的な施工事例を調べ、そこから工数を予想して線表を引き、マスタースケジュール(仮)とした。そのような決まり切った事務作業は、守に任せればあっと言う間に完了する。


「出来た!」


 克樹と守は頷きあった。


 ☆ ☆ ☆


 次の日、あし家を訪れると、雅美が手作りの桑の葉茶を出してくれた。


「聞いたわよぉ克樹君。交際を申し込まれたんだって?」


 ゴッキュン。噴き出しそうになったお茶を辛うじて飲み込んで、克樹の喉は妙な音を鳴らした。


「ど、ど、どうしてそれを?」

「どうしてもこうしても、本人が嬉しそうに話しとったぞ。返事待ちと言っとったが、ありゃ相当期待しとるな」


 達成も楽しそうに言う。うひゃあ… と、克樹は真っ赤になって呻いた。


「で、どうするんだ?」

「今、それで悩んでるんですよ」

「何を悩む必要がある?都合の良い女でいいと言ってくれたんだろう?」

「そんな事まで知ってるんですか… その、多母髪さんの話をそのまま受けると、何だか不誠実な気がして」

「今は昔とは違うわよぉ。いいんじゃないかしら、若い男の子なら願ったり叶ったりでしょう?それとも克樹君も隠居系なのかしらぁ?」


 雅美まで克樹をけしかけるような事を言う。


「ま、克樹君の問題だ。儂らはこれ以上は何も言わん。これも一つの人生経験だ、じっくり考えなさい。受けるにしろ断るにしろ、後悔せんようにな」

「ありがとうございます…」


 克樹は絞り出すように言って俯いてしまった。


「それで今日の本題だが…」

「あ、そうでした。ひとまず家の事だけ考えたんですが、こんな感じに建てようと思いまして」


 守がA3タブレットをテーブルに広げた。


「ほほう… 墓がここで、丸太小屋と、母屋はここか。墓からも庭が見えるようにしてくれたのか」

「あら、露天風呂とサウナまで作るの?良いわねぇ」

「それなんですが。母屋が完成した後は、丸太小屋は客間代わりにします。で、普段は脱衣所にして、村の皆さんにも使ってもらえたらと思うんですが。狭いんで予約制になりますけど。どうでしょう?」

「それは嬉しい!有難う。皆も喜ぶだろう」


 達成も雅美も大喜びで賛成してくれた。


「それでですね、一つお願いがあるんですが」


 今日の本題だ。これがあるから、克樹はこの段階で態々日足家を訪ねたのだ。


「貝殻を大量に集められますか?」

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