1-20. 閑話
前話のまとめ:一作は、実は苦労人でした。
涼子の説教を通して、一作はリアル女子の知識を増やしていった。知識の増加に伴ってギャルゲの理解度が変わってくるような気がした。改めて過去のタイトルを見直すと新たな発見が多かった。ギャルゲの新しい楽しみ方を発見した、そう思って一作は涼子に少しだけ感謝した。少しだけ。
その頃からブログの内容が変わった。ギャルゲを軸とした文化評論が増えた。興味の赴くままに切り口を考えて、資料の収集と分析は藍に頼んだ。結果を貰って文章を書き、論理については藍に監修してもらった。その結果、十代の若者の片手間とは思えない質の記事が量産された。
ギャルゲの歴史
ギャルゲの流行分析と、リアル流行との相関
ギャルゲに影響を与えた聖書の記述
海外製ギャルゲの歴史
国毎のギャルゲの特徴と文化の相違の反映
現代におけるギャルゲの意味
ファッションへのギャルゲの影響
人格の記号化とギャルゲの登場人物
実在人格へのギャルゲの影響
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攻略情報を載せなかったので閲覧数は元から少なかったのだが、その上このような内容はオタクには人気が無く、少ない読者も離れていった。それでも構わなかった。自己表現の場がある、それだけで十分だと思った。
藍の報告によると、最近は海外の読者が増えているらしい。確かに時々英語の書き込みがあり、藍に翻訳してもらって返事を書いている。
どういう訳か海外のギャルゲメーカーから無料モニターの依頼が来る事もあった。そういう申し出はありがたく受けた。高価な海外製ギャルゲをタダで遊べるのは助かった。
実は、英語圏においてこのブログは注目され始めていたのだ。ブログの記事を引用した学術論文まで出てきていた。
ネットでは筆者の正体についての噂話が囁かれている。イギリス貴族ではないかとも言われているが、該当者がいない。日本に造詣の深いイギリス貴族が正体を隠して書いているとか、いやイギリスと仲の悪い某国の陰謀だとか、噂が噂を呼んで尾鰭ハヒレがくっついて大仰な珍説まで登場した。しかし確かな事は何もわからなかった。
丁寧に探せば居住地くらいはわかるかも知れないと考える人々もいた。しかし万が一、国家的陰謀だったり社会的地位の高い人物だったりすると、隠している事を無理に暴けば報復される恐れもある。思い切った調査に踏み切れる人間は居なかった。
そんな折、ブログのサーバーは日本にあるらしいとの新しい噂が広まった。日本は富裕層の居住地として人気の国である事から、社会的地位が高いという噂の信憑性が増す事になる。人々は正体探しを諦めた。
謎のギャルゲ文化人、Issac Goz。その正体についての話題は密かに世界の耳目を集めていた。
…という世界の動向を知らない牛頭一作は家に引き篭もり、ロリ巨乳の秘書ロボットに「お兄ちゃん」と呼ばせて悦に入るのであった。




