表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本人は働く必要が無くなりました。  作者: Katz
第1章 田舎暮らしに憧れて
18/32

1-15. 案内

前話のまとめ:雅美は達成の胃袋をガッチリと掴んでいます。

 次は達成が話してくれた。


 この辺りは昔から水田が広がっていた。そして皆、家の周りに畑を作って、自分で食べる野菜は自分で作っている。気候は穏やかで土も肥えていて、とにかく農業に向いている。


 またロボットが導入された頃から養蚕が始まり、山の麓に沿って桑畑が作られた。6月には桑の実が採れて、ジャムなどに加工している。


 蚕は種屋から取り寄せるが、遺伝子資源の保全がどうとかで、飼育場で殖やす事は許されていない。必ず取り寄せる必要があり、飼育した全量を出荷する。隣村の工場に運んで、そこで熱処理して糸を紡いでいる。


 言うまでもない事だが、蚕の世話も桑畑の維持も桑の実の収穫も、水田を始めとした各種農作業も、基本的に全てロボットが行っている。人間の作業は趣味の範疇で、気が向いた時に体験する程度だ。そういった点は都会の会社と同じである。


 村の人口は少ない。全部で25戸、55人程だが、その内5戸15人は育児の関係で町に出ている。ちょっと変わった人間が3人いるらしい。


「変わってると言っても変人と言う意味では無くてな。武術を修行しとるんだ。流派は… 空手ではなくて、柔道でもなくて、う~んと」

「明道流ですよ」

「そう、明道流と言っていたな。儂も若い頃に剣道を少し齧ったんで、ちょっと揉んでもらったんだが、まるで歯が立たなかった。興味があったら聞いてみるといい」


 武術をやっているだけあって、とても礼儀正しくて良い人達らしい。歓迎会にも来てくれていたようだ。後でもりに確認しておこう、と克樹は思った。


「さて、村の概要はこんなものかな。案内用のドローンを呼んでおいたから、ゆっくり見てくるといい」


 持参したつなぎに着替えさせてもらい、守と一緒にドローンに乗り込んだ。


 ☆ ☆ ☆


 ドローンで飛んで、タリ山を上から眺める。一面が杉に覆われている。全て無花粉杉と言っていたな、と克樹は先日の達成の説明を思い出した。


 高さ200m程度、直径はおよそ1km。周囲は大体3〜4kmになるのだろうか。歩いて1周しても1時間程度だろう。山と呼ぶには小さ過ぎる気もするが、水田の広がる平坦な周囲から見ると、確かに盛り上がっている。


 そして1kmほど離れた所には、もっとしっかりした山らしい山が、屏風のように続いている。そちらは国有地との事だった。その麓、水田との境には、ずっと桑が植わっている。あれが養蚕用の桑なのだろう。


 最後はタリ山の周囲をぐるっと飛んだ。ドローンのAIに聞いて山道の入り口を確認、降ろしてもらった。


 そこからはもりと一緒に山道を登ってみる。周囲を観察しながらゆっくり登っていくと、広場のようになっている平らな場所があり、隅の方には墓があった。


「百足家之墓… これが本家の墓だな」


 持参してきた線香を供えて手を合わせた。


「ここは丁度中腹の辺りかな?」

「そうですね、大体6合目になります」


 克樹が聞くと、守が気圧式高度計を確認してくれた。


 家を建てるとしたらここだろう。タリ山の南々西にあって日当たりが良く、右手には湖が見えて景色も良い。広さも十分。墓がここだから、ここに家を建てよう、その隣になる場所に丸太小屋を先に建てて、そして庭はこんな風に広がって… 開けた場所を前に、克樹は夢を膨らませた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ