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「速く!!急いで!!」
アヤが叫んだ。
サキトがダクトに入り込む。
「次は、アヤだ!」
イオリがアヤに言った。
「イオリは?」
アヤがイオリを見る。
「俺は後からで良いから」
イオリが言う。
「速く来い!」
ダクトの中でサキトが言った。
「絶対に来てね」
アヤがイオリに言ってダクトの中に入っていく。
『やつ』の声が聞こえた。
迫ってきている。
イオリはライフルを構えた。
「急ぐんだ!」
サキトが言った。
「待って!イオリがまだ……」
アヤがサキトの足首を掴んだ。
「何だって!」
サキトが戻ろうとした。
しかし
「速く行け!!!」
イオリの絶叫が聞こえた。
「でも……」
アヤが呟いた。
「皆、死ぬぞ!!!!」
イオリが叫んだ。
ライフルを撃つ音が聞こえる。
「行こう!」
サキトがアヤに力強く言う。
「えっ」
アヤの舌が固まったように動かなくなる。
「行けよぉぉぉ!!!!」
イオリがまた叫んだ。
次の瞬間、イオリの叫び声が聞こえた。
イオリが死んだ。
「嫌!!聞きたくない!!」
アヤが耳を塞いだ。
『残り時間、5分』
女の声がそう告げた。




