お礼と依頼と決心と
すっかり明るくなった頃にようやく二人は街に戻ってきた。早朝であるが街には出歩く人がちらほら見える。
デイジーも街に戻ってこれてこれまでの緊張が一気に解け大きく息を吐いた。
「ふー、ありがとう、助かったわ」
「なんのなんの、まだ正式じゃないけど依頼主だらね」
そうは言っているがアテムはデイジーを助ける義理は無い。それでも危険を冒して助けに来てくれた。なのでデイジーは街に帰るまでの間に考えていたことを話そうと思った。
「その事なんだけど」
「ん?やっぱりやめとく?B級冒険者には精霊の森の依頼は無理そう?」
「いえ、もしかしたら大精霊様なら呪いを解けるかも」
「本当!」
「もしかしたらね」
まさかの答えにアテムは驚き小躍りをしなごら喜んだ。アテムが身につけたアクセサリーがジャラジャラ音を鳴らしてうるさい上に踊っている為周りの注目を集めている。
「精霊は呪いを受けない性質があるの。だから大精霊様なら呪いをどうにか出来るかもしれない」
「あっ!でもまだB級だから精霊の森にはいけないよ?」
「だったらA級になればいいでしょ?儀式までにはまだ時間があるからそれまでにA級になれば問題ないでしょ」
「なれなかったら?」
「私以外にも他の妖精が冒険者を探してるから。問題ないと言えば問題ない。それに今一番可能性があるのはアンタだけだから。何処行ってもギルドの連中は無理としか言わないし」
「ありがとう!何から何まで」
アテムはデイジーの小さな手に小指を出しておそらく握手らしき動作をした。おそらくというのはデイジーの手が小さ過ぎるあまり側から見れば指でちょっかいをかけている様にしか見えないからだ。
そしてまた不思議な小躍りを始めたアテムにデイジーは恥ずかしそうにしながら釘を刺した。
「踊るのをやめろ!それにアンタがA級にならないと全部意味がないからね」
「分かってるって」
釘を刺したはいいがアテムの態度を見るに本当に理解しているのか疑わしかった。そこで改めてデイジーは質問をした。
「それでA級にはなれるの?」
デイジーの質問にアテムは踊るのやめて胸を張って自信満々に答えた。
「まずは元パーティメンバーを集めようと思う」
「それって呪いを受けた?大丈夫なの?」
「大丈夫!」
デイジーは心配そうな表情をしたがそれでもアテムは気にしない。必ずA級になれる自信があったからだ。
「なにせA級に限りなく近付いた最強のパーティだからさ」
派手な眼鏡の奥に光る瞳は真っ直ぐで自信に満ち溢れていた。




