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『婚約破棄の手紙から始まる、辺境伯との再婚生活』  作者: はる乃


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第十六話「守る資格と、奪う覚悟」ルーカス視点

その頃、王都ではルーカスが偶然を装い。

マキシムを酒場へ誘っていた。


アレクシスの亡き妻セレスティーヌは、

ルーカスにとって年の離れた唯一の肉親だった。


姉が結婚してアレクシスが義兄となり、

剣を教わり、酒を酌み交わした。


領地の相談を何度も手紙でやり取りするほど、

彼らの仲は深かった。

時折マキシムやビリーもそこに加わり、

共に笑い合った日々。


「悪かったな、ルーカス!」

マキシムは杯を置き、対面に座る男を見た。


「葬式以来で申し訳ない。姉さんのことは残念だったが……大丈夫か?」


「はい。少しずつですが、気持ちの整理はついてきました。ただ、姉の死には納得がいっていない。まだ、調べ続けています。……マキシム様も義兄上も、お変わりありませんか?」


言葉は淡々としているが、ルーカスの視線は合わない。


「セレスティーヌのことは他人事じゃない。できることは協力するさ」

マキシムは肩をすくめ、何気ない調子で切り出した。


「そういえば――お前、婚約者がいたよな」


その瞬間、ルーカスの指がぴたりと止まった。

「……何の話ですか」


「いや、ふと思い出してさ。確か、かなり囲い込んでいただろ。社交にも出さないで、まるで宝物みたいに」


ルーカスの喉が、小さく鳴る。

「……もう、終わった話です」


「へぇ。それは『最近』終わった話か?」

マキシムは、ゆっくりと笑った。


「じゃあ、もう手放したんだな」


その言い方に、ルーカスの胸の奥がわずかに軋む。

「何が言いたいんですか」


「お前の元婚約者――リリエル嬢だろ?」


鋭く、短く。

ルーカスは答えなかった。

代わりに、静かに息を吐く。

「……どうして分かったんですか」


「最近、婚約破棄されたばかりの美しいご令嬢に会ってきたからさ。辺境でな」


ルーカスの顔色が、劇的に変わった。

「……リリエルに会ったんですか!」


「カマをかけただけだったんだけどな」

マキシムの笑みが、少しだけ消える。


「アレクシスが匿っている女がいると聞いて会いに行ったが……お前が他の男に見せないよう大切に隠していたのも頷けるよ。彼女、本当に目が離せないひとだ」


――やめろ。

喉まで出かかった声を、ルーカスは飲み込んだ。


「一目で分かった。……欲しい、とね」


その言葉に、ルーカスは初めて顔を上げた。

「……あなたは、彼女がどんな場所で生きてきたかを知らない」


(あの日、初めて会った瞬間に

彼女が“特別”だと分かってしまった。

だからこそ調べ始めたが、まさかルーカスの――)


「知っているさ」

即答だった。

「だから、欲しいと言っている」


「誰かに隠されるためじゃない。誰かの“都合のいい安全”の中じゃない」

マキシムは静かに、刃のような言葉を突きつける。

「選ばれる場所に、立たせたい」



沈黙が落ちた。

酒場の喧騒が、やけに遠く感じられる。


「……アレクシスの元にいる」


ルーカスは絞り出すように言った。

「彼なら安全です。義兄上なら、何があっても……」


「『姉を忘れたのか』と罵れば、いつでも彼女を返してもらえると思っているのか?」

マキシムの声は優しいが、逃がさない。


ルーカスは目を伏せ、拳を握りしめた。

「……卑怯だって分かってます。でも、僕は必死なんです。彼女を救うには、これしかなかった」


マキシムは杯を持ち上げる。

「だがな。手放したなら、もう“守っている”つもりで口出しするな」


「彼女は――」


「もう、お前の“姫”じゃない」

はっきりと断じられた。


「どんな理由があったとしても、お前は彼女を捨てた。今さら守る権利なんて、どこにもないんだ」


マキシムは最後に、突き放すように告げた。


「恨むなら俺じゃない。――彼女を手放した自分を恨め」


ルーカスは、何も言い返せなかった。

少しづつ全体像が見えてきて、

更なる深みに入っていく予定です!

続きを気にして貰えると嬉しいです!


ブックマークやご感想、とても励みになります。

宜しくお願いします!

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