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 なんだコイツら。俺のことを警戒してるだって?


 はぁ。駄目だ、それだけは駄目なんだ。

 俺がここで村を破壊したなんて事実が露呈してしまえば、この世界での俺の立場が危うくなりかねない。

 コイツらが何者であろうと、ここで始末しとかないといけない。


「お、おい君、聞いているのか。この惨状について知ってることを話すんだ」


「話すことか。そうですね。僕はこの村に対して何もしていません、本当なんです信じてください」


「信じられるわけないだろう」


「ですよね。ならばこうだ!」



 俺は目の前の男の顔を殴り飛ばし、首から下だけの人間にした。首下人間だ。



「……あ?」


 周囲のやつらもようやく事態を認識したようだ。

 これで残り三人……御者を入れて四人か。


「悪いけど、お前たちは生きて帰すわけにはいかない。俺のこれからが懸かっているからな」


「……あ、やべえ……」


 顔を失った同僚を絶望の表情で見ている男がかすれた声で呟いた。そして、



「バケモンだあああああああああ――!!」



 一斉に尻尾を巻いて逃げ出した。

 


「とう! とう! でりゃ!」



 だがこの俺が逃がすはずもなく、一人一人殴って殺した。

 前回までの反省を活かし、自分に血が飛び散らないようにしたパンチを繰り出す。


「ふう、なかなかうまくいったんじゃないか。こう、あれだな。インパクトの瞬間に衝撃波を撃ち出す感覚だな。これで血飛沫なんかもいい感じに前方に弾けてくれる」


 いい手応えを覚えて大満足だ!


 気分の良くなった俺は御者を捕まえようと馬車のもとまで歩いていく。


「ブルルルゥ」


「あれ?」


 御者がいなかった。

 いたのは二頭の馬だけだ。


「もしかして逃げられたか? マズいっ」


 俺は慌てて周囲を見渡した。

 周囲は開けているわけでもなく木々が生い茂っており、隠れようと思えば簡単に隠れれるようになっている。遠くに逃げられでもしたら、追いかけ見つけ出すのは至難の技となるだろう。


「くそうッ!」


 追い込まれてしまった俺は、地面を拳で殴った。

 ドでかいクレーターが出来た。


「うっそだろ、ガチでどうすれば……くそッ! こういうときに魔法なんかがあれば便利なのに……!」


 やはり魔法の習得は必要だと感じながらも、唱え方がわからないのでひとまずは諦めるしかないだろう。

 もっと別の方法で逃げたやつを見つけ出さないと……

 もしあいつに逃げられて誰か別の奴に報告されでもしたら……


「噂が広まるのは速いからな……俺はやがて特定され……あれ? でも報告されたとしても犯人が俺だと分からなくないか?」


 思えばそうかもしれなかった。

 写真なんかを撮られたとも思えない。

 電気のでの字もなさそうな世界観だ。そんな緻密なものが開発されているはずもない。


「そうだよな、思えば考えすぎかもしれん。もし万が一逃げられたとしても、俺と特定される可能性は薄いはずだ。あーあ、心配して損した」


 そう思うといくらか気が楽になり、だからなのかは知らないが閃いた。

 今の俺にあるのは規格外の身体能力だ。

 ならば聴力を強化して逃げる者の足音を聞けばいい。


「集中モード!」


 俺は耳を済ませた。



 …………どうだ……聞こえるか……うん、聞こえる……枝葉のこすれる音……風切り音……小型のリスみたいな生き物の鳴き声……よく分からない虫の音…………深く、より深く入っていく。いい。すごくいい状態だ……



「ッ!! いた!」


 そんな中でやけに慌ただしい息遣いが聞こえた。

 その地点からダッダッという足音も聞こえてくる。


「ふふふ、逃がすか!」


 俺は逃げている男の近くまでダッシュした。

 一瞬で追いつき、襟首を捕まえた。



「ぐはっ!」


「ふふ、残念だったな。帰ってくるんだ」




 馬車のある場所に戻ってきた。


「助けてくれよ!! 俺が何したってんだよ」


 四十くらいのおっさんが座って泣きながら助けを乞うてきた。


「俺のことを知ってしまったからなぁ。それだけで理由は十分だよなぁ」


「そ、そんなぁ!」


「ちゃんと答えれば解放してやる。ここに来たのはお前たち合わせて五人だけか?」


 どの道口封じするのは確定だとしても、その前に聞けるだけ聞いておいてもバチは当たらないだろう。

 後々思い返してみれば、馬車の中に人がいるかどうか確認するのを忘れていた。

 御者に気を取られてたけど、そっちにも人がいたとしたらもう今頃……


「答えれば見逃してくれるんだな!?」


「当たり前だ」


 俺がそう答えると、男はしぶしぶ話しだした。


「……そうだ、俺達五人でここに来た」


「そうか。ちなみに何しに来たんだ?」


「移動で立ち寄っただけだ! 俺以外の奴らは商人で、俺はただ馬の操縦で雇われただけだ! とんだとばっちりだ! こんな人の心のねぇ気狂いと遭遇するなんて! 死ぬのはあいつらだけでいいだろ!」


「まぁまぁ、君は助かるんだ。そうだなぁ。この近くに街かなにかはあるか?」


「……街? あるがそれがどうした」


「そこまで俺を連れて行ってくれない? 街に行きたいんだけど、場所が分からなくて困ってたんだ。御者ってんならちょうどいいだろ、俺を案内してくれ」


 ふふふ、そうだ、どうせなら有効活用してしまえばいい。

 俺ってば頭良いっ!

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