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サッカー選手でエースストライカーだなと思いながら、残りの男の方を見やる。
「て、テメェ、なにもんだ!?」
取り残された仲間が尋ねてくる。
髭面の顔には明らかに狼狽の色が浮かんでいる。
「なるほどな、その辺の奴らじゃまるで相手にならないってことか。まぁそりゃそうだよな」
これでは実力を試そうにも試せない。
となるとこんな奴にかまってたって仕方ないか。
「じゃあ死んでもらおう」
「や、やめろ、何を、俺がお前に、何をしたってんだああああああああ――」
俺は男の股間を思いっきり蹴り上げた。
そうして空高々と舞い上がり、どこかへ消えていく。
まぁ、どっちにしろ死んだな。
「あの、大丈夫ですか?」
俺は残された村人っぽい人に声を掛けた。
「あ、あなたは……」
「僕はその辺をほっつき歩いていた者です。立てますか?」
俺はその男性に手を差し伸べた。
「あ、ありがとう……うぅ……!」
男は俺の手を取り立ち上がろうとしたが、痛めつけられた箇所が痛むのか顔をしかめていた。
肩はだらしなくぶら下がっている。
あー、完全に怪我してんのか。
痛そうだなぁ。
俺が回復魔法を使えたらこういうときに治してあげれたかもしれないのにな。
でも楽にしてやる方法はあるのか。
「せりゃ!」
俺は男の頭部を叩いて吹き飛ばした。
頭部を失った男がゆっくりと倒れていく。
これで楽になっただろう。
「さて、一通り見て回るとしますか」
俺はせっかくなので村の中を見て回ることにした。
歩いてみると、やはりというべきか盗賊っぽい奴らの姿がチラホラと見られた。
「せいや!」
「ぐふっ!?」
「はぁ!」
「ウゲッ!?」
俺はなんちゃって格闘術で男たちを次々と成敗していく。
もう話したりするのも面倒なので、見かけた瞬間から先制攻撃で葬りさった。
「はぁ、はぁ」
と、そんな感じで回っていたところ、一人の女の子が一生懸命に走っているのを捉えた。
歳は十歳くらいなんじゃないかな。可愛い。
「クソガキぃいいいい!」
そして盗賊の男がその後を追っていた。
女の子は泣きながら、転けそうになりながら、それでも懸命に生きようとしていた。
俺は女の子の前に立ちふさがった。
「あ、ああ」
女の子が地面に膝を付き俺を見上げ絶望的な表情を浮かべた。
食べちゃおうかな?
「あ? 何だテメェ?」
女の子を追いかけていた男とバッティングした。
「全く……こんな幼気な子を追いかけ回して……人として恥ずかしくないのか?」
俺は女の子と男との間に入る。
挑発的な視線を男に向けてやった。
「邪魔をするなら――」
「はいやー!」
俺は男に高速で接近。
頭部を真上から殴りつけ、終わらせた。
首が取れそうな程やばいことなってるし、そもそも頭蓋骨陥没で死亡だろう。
「あ……え?」
「大丈夫だった?」
俺は女の子の頭を優しく撫でてあげた。
髪がサラサラで気持ちいい! クセになりそう! 俺の奴隷にしてやろうかな。
「――テメェか? さっきから仲間を殺ってんのは」
女の子が逃げ出してきた方向から、さらに別の男が現れた。
男は大柄な体格だった。
骨をつなぎ合わせたアクセサリーを身につけており、心なしか他の奴らより威圧感を感じる。
おやおや、ボスの登場ってわけかな?
背後には側近ぽいのも連れてるし。
「だったら何だってんだ? 何が悪いんだ?」
「ああ? お前頭いってんのか。もうお前に楽に死ねる未来はないが、それでも口の利き方ってもんがあるだろうよ」
「いやいや、そっちこそ言葉遣いに気をつけろよ。格上には敬語を使うもんだろう?」
「……テメェ……」
「――お頭! 俺たちにお任せくだせぇ!」
俺たちが喋っていたところ、背後の男たち二人組が前に飛び出してくる。
顔中に傷があるスキンヘッドで、まるで見分けがつかない二人だった。
「へへっ、最近骨のあるやつがいなくて鈍ってきてたんだ、ちょうどいい獲物だぜ、なぁ兄者」
「そうだとも弟者よ。雑魚ぱっか相手にしてちゃあビューティー兄弟の名が廃るってもんだぜ」
なんだこいつら……急に出てきて話し始めたんだけど……
「おいおい兄者、こいつ俺たちの名前聞いてビビってねぇか?」
「ハッ、無理もねぇ。リックスの街では賞金首にもなってんだからなぁ! もう引っ込みつかなくなって完全にビビってやがるぜ」
「兄者、ここは俺にやらせてくれえ、首筋をスーッと通す感覚を味わいてぇんだ」
「ふん、馬鹿弟が、油断するな。こいつは仲間をいとも簡単に屠ってる。俺たちの敵ではないだろうが、一応万全を期して二人がかりでいくぞ」
「わかった。よーし、ならば俺と兄者のコンビネーション技をお見舞いしてやるぜ!」
「阿吽の呼吸というものを見せてやんよッ!」
そうして二人がかりで俺に突っ込んできた。
うーん、なんだろう……なんか目の前で急に横に逸れたりとか色々フェイントを挟んできてはいるが、正直遅すぎて遊んでいるようにしか見えない。
「隙あり!」
「ざまあねぇッ!」
二人が好機と見たのか、俺の後ろから揃ってナイフで斬り掛かってくる。
ばしッ!
俺は男二人の頭部をそれぞれ掴んだ。
「「なに!?」」
驚きの表情を浮かべる男二人。
「ふん!」
俺はそのまま男の顔同士を勢いよくぶつけ、ぺしゃんこにした。
手を放すと、もう誰なのか分からなくなった二人がぼとりと地面に落ちた。
うえー、べちょべちょーになっちまった……。




